気づけばここ半年ぐらい自転車で遠出してねえなあと。
というのも、ロード通勤を初めてからこっち、普段の通勤だけでも結構自転車欲は充足されちゃうのですよね。晴れてれば1日30kmぐらいは乗る事になるから。
とはいえ同じとこばっか走ってても流石に飽きるので、久々に輪行して、かねてより走ってみたかった茨城の霞ヶ浦に行ってきました。
常磐線の土浦駅からスタート。地図を見れば一目瞭然、霞ヶ浦の真ん前です。西口からはつくばりんりんロードも間近で、まさに輪行のための駅と言えましょう。……だから自動改札の幅を一箇所だけでも広くしてもらえると嬉しいんスけどね。
スタート時刻は10:00ジャスト。天気は快晴、日差しも暖か、最高のコンディション。
最初に一枚、パノラマで。対岸は霞んで見えない。一周およそ100kmは十分走れる距離ですが、それを一望できるというのは先の見えない川沿いサイクリングロードとはまた違った面白さ。
「こんな距離走んの? マジで?」 って。
対岸に辿り着いた時、そして一周し終えたときの達成感を想像するとスタート時点から滾るものがあります。
以前利根川サイクリングロードを走った時もそうでしたが、この時期の水辺は渡り鳥の越冬地と化しており。利根川の佐原辺りも気持ち悪いぐらいカモがいましたが、こちらはそれに加えて白鳥までおります。あとアオサギも結構見かけました。
とっさの写真で枝が邪魔。
白鳥は優雅に泳いでいる水面下で必死に足を動かしているんだよ、なんて言いますが、飛び立つ姿は優雅とは言い難いもんがあります。ドシャバシャズベシャアとすさまじい水音を立てるので何事かと思いましたとも。
ちなみに、霞ヶ浦の風景ってずっとこんなんです。反時計方向に回ったんで、左側に湖と水鳥。釣り人のカタマリ。そして道。
トリッキーなデザインの建物があると思ったら予科練平和記念館なるもので。
横には回天の模型が。俺は三笠や富士総合火力演習を見学しに行ったりしてるし、兵器の類は単純に格好良いと思ってしまう方なんですが、流石にこれは重たい気分にしかなりませんでしたわ。人がギリギリ乗れるだけのサイズが心に痛い。
湖面に浮かぶ、メカメカしい何か。
長いパイプを経由して、道の反対側にあるこの謎機械と繋がっていました。何これカッコイイ。何やってんだか分かんないんだけどガッションガッションとフル稼働しておりまして無闇に俺が荒ぶります。湖側の機械は取水塔みたいなもんなんでしょうかね。
道は数あるサイクリングロードの中でもかなり良い方です。ここは自転車道じゃなくて「ものすごく人や車の少ない一般道」なんですよ。なので広いし、信号はないし、メンテが行き届いて路面は平らかだし。田舎の農道にありがちなアスファルトのヒビなんて全くありません。
25km程走ったところにあった東屋で休憩。霞ヶ浦はいい具合に休憩ポイントや公衆トイレが点在しています。
こういうものを啜って補給。「ぬたぁ」とした食感が好きではないのですが効率は良いです。
絵になる角度で沈んだボート。
さらに行くと大通りに接近するポイントがありまして、絶妙な、本当に絶妙な位置にセブンイレブンがあります。一人孤独に走り続けたその先にこのオアシス感は異常。
当然のようにバイクラックもあり。行き届きすぎだぜ霞ヶ浦。おにぎり二個と薄皮あんぱんを買って、おにぎり一個はこの場で食べる。
霞ヶ浦一周ルートの良い点として、生活との隔絶感が少ないということがあります。基本的に人気のない道なのですが、道一本隔てた先には時折コンビニの看板が見えたりするんですね。
走りやすい道と静けさを堪能しつつ、いざトラブルが起きた時にはすぐに対応できそうだという安心感があります。
孤独な旅の供は歌。これだけ気持ちのいい陽気のもと、周りに誰もいなけりゃそりゃ歌うってもんです。
斧を取れ! 斧を取れ!
我ながら口をついて出る選曲センスが最悪だと言わざるを得ない。他にもっとあるだろ、旅っぽい、爽やかなのが。イージューライダーとか日曜日よりの使者とか何かそういうのがさ。
砂になれ! 石になれ! (熱唱)
遥か前方で猫がビクッとしてた。ごめんよ。
当然近寄らせてはくれなかったので、すれ違いざまに一枚、手袋ちゃん。ピント合ってないのが残念。
言い訳のようにイージューライダーなど口ずさみながら進むとバードウォッチングスポット。
チラ見しただけなので全然鳥は見つけられなかったのですが、こういうところで一日ボサーと鳥待ちするのも良いものでしょうね。
葛飾区の水元公園にも同じものがありますが、あそこは鳥が多すぎて逆に怖いんですよね。窓を覗くと向こう側にはぎっしり鳥がいて、フンで真っ白に様変わりした木々。その風景の異世界感は尋常ではなく、「ヤベェ、人類は鳥に駆逐される」といった趣きの本能的な恐怖を感じることができます。超ヒッチコック。
ところでwikipediaの「鳥(映画)」の項目に書かれているストーリーは本当に日本語なんだろうか。読んでも全く意味が掴めない。
本当どうでもいい。
鳥の鳴き声が聞けるマシーン(多分)。当然のごとく壊れていてウンともスンとも言わず。
唯一舗装されていなかった砂利道。写真の水平が全く出ていない辺りに俺の捨て鉢な気分を読み取っていただけると幸いです。
未舗装区間は200mぐらい。
右岸終了。後半戦に入ります。
北利根橋をわたって左岸へ。ガードレールが低いので、左にコケたら余裕で転落できます。怖ぇ。
左岸に入ると一部車止めのある自転車歩行者道が現れますが、人が殆どいないのは相変わらず。
「自転車は屋外ひきこもり」というのはよく言ったもので、ずっと一人で走っていると一人暮らしの部屋で風呂上がりに全裸で踊り狂うような妙なテンションになってきます。
この辺で俺は一人、裏声でミッキーマウスのモノマネをして遊んでいました。 (参考および元ネタ)
「ハハッ 僕から逃げ切れるつもりかい? (ミッキーの声で)」
「ハハッ それは残像だよ (ミッキーの声で)」
「ハハッ 夢の時間は終わりさ (ミッキーの声で)」
すごい楽しかった。ちなみにミッキーマウスのモノマネで遊ぶ時は「ほぉ〜らごらん、これが僕の○○だよぉ〜 (ミッキーの声で)」の○○に適当な単語(ex.マジカルステッキ、スティーヴン・セガール、お芋)を突っ込むと大体下ネタとして成立するのでおすすめ。
何の。
公園を見つけて休憩。さっき買ったおにぎりとパンを食べる。後ろではじいちゃんばあちゃんがパターゴルフ的な遊びをしていた。
このベンチでこのまんま寝たら最高だなあと思いつつも、日が沈む前には帰らなくてはいけないので10分程で出発。
冬空はどこまでも青く透き通り、道は清々しいほどに真っ直ぐで。口ずさむ歌は。
むーしっむっすっめーのくーせにー!! ナールシースートーでー!! いーとっをつーむーぐっぜぇーーーーー!! (熱唱)
もう爽やかさとか色々諦めたサイクリストの姿がここにあります。
画面左端に見切れている鴨を狙う猫。すぐ後ろには狙い頃の小鳥がいるのに気づいていない。
やっぱもうちょっと寄れるカメラも欲しいなあ。ハイズームはかさばるから自転車に乗るときにはジレンマです。
消波堤の工事中。ユンボは船で運んだんでしょうけど、地続きじゃない所にいると一瞬「何だ?」って思いますね。「これ迎えが来なかったらどうするんだろう……」みたいな余計な事も考えます。
金魚つり。何それ楽しそう。
金魚つりの向かいは道の駅たまつくり。展望タワーと、花博マスコット+ぴちょんくんのようなキャラクターのバルーンがお出迎え。
ご当地名物の行方バーガーを注文。
俺はこういう変な名前の食べ物を注文する時、妙な気恥ずかしさを感じてためらってしまうのですが、分かってくださる方いますでしょうか。
「か…… 『かもパックン』 ひとつください」
「あぁごめんなさいね、注文は食券なんですよー」
よし死のう。
死にたくなった「かもパックン」。パテは照り焼き味なので正直何の肉でもいいんじゃねーの、という感じなのですがバンズは表面がパリッと焼けていて美味かったです。セットになっている温かいお茶も嬉しい。
16時前。まだそれなりに日は高いのですが、この時期この時間はすっかり光が赤くなってますね。
奥に見えるのは何なのか分かりませんが、水の上にある建屋というのは無駄にワクワクします。
隣でノーリード散歩してたワンコがヒャッハーな感じで超ついてきた。わかるよ。犬ってそうだよね。
進むとついてきちゃうので、立ち止まってしばしお見合い。折角なので一枚パシッと。
この後彼は、「ホラだいすけ!! 俺行っちゃうぞ!!」 と別方向へ進んでいった飼い主さんを追っていきました。じゃあな、だいすけ。
ほんの少しだけ工事区間があって迂回したところ、収穫真っ最中のハス田地帯ど真ん中を通ることになりました。水面から上だけ見るとただの枯れた草にしか見えませんが、地中にはレンコンがどっさり埋まっているわけです。
夏頃通れば蓮の花がそれは見事なもんなんでしょうけど、胸まで田んぼに浸かって収穫している光景もそれはそれで様になるもんでしたよ。道端には真っ白なレンコンが山積みにされててね。農家の皆様が作業中でしたので写真は撮れませんでしたが。
凱旋。特攻野郎Aチームのテーマを流したくなる画だ。
霞ヶ浦沿いの道に戻って。前方に見えるのは土浦駅周辺のビル群。あと5~6kmってとこか。
市街地に入ると湖ぎわの道は無くなって、最後は普通に信号のある一般道を通ってゴール。土浦駅もすっかり赤く。
走行ルートは上図の通り。
- 走行距離:98.28 km
- 移動時間:4:49:31
- 経過時間:6:14:25
- 平均スピード:19.7 km/h
霞ヶ浦周辺の風景は変化に富むとは言えませんが、とにかく道が良いので気分よく走れます。見晴らしは抜群、遮蔽物が殆どないので、ずっと小春日和の温かい日差しを浴びながら走ることができました。逆に真夏は死ねるんじゃねーかと思います。
先にも書いたとおり、コースが全体的に生活圏に近いので補給やトラブル対応にも安心感があって初心者にもおすすめ。それでいて一人で妙なトランス状態に入るには十分な静けさもありますしね。
「ハハッ 君が次のミッキーだよ (ミッキーの声で)」
怖ぇよ。