わりかしメジャーな英語学習法の一つに「多読」というものがあります。
内容はまあ、名前のまんま。自分の英語力に照らして、比較的易しめの文章を大量に読むことで自然と語彙力や読解力が付くというやり方です。
TOEICなんかの試験対策としてはとても効率的とは言いがたい学習法なんですが、ネイティブの自然な言い回し、いわゆる「活きた英語」が身に付くとか、英語を英語のまま(頭の中で翻訳することでニュアンスを変えてしまうことなく)理解できるようになる等のメリットがあると言われています。
詳しくは「SSS英語学習法」とか「やる夫が英語の小説を読むようです」あたりを見てもらうとして、この多読にSony Readerは最適なんじゃなかろうか、と思うのです。
何でSony Readerなのか
洋書読むんなら素直にkindle買っとけって話なんですが(ていうかウチにはkindleもあるんですが)、あえてSony Readerを選ぶのは何故かというと、タッチパネルがあるからです。
俺はSony Readerを自炊漫画リーダーのつもりで購入したので、正直タッチパネルは不要だと思っていたのですが、いざ学習用として考えるとこれが便利便利。
つーことで、しょっちゅう読み飛ばしながら進むんですが、その際分からなかった単語や文章はマーキングしておきます。
指とかスタイラスでマークできる
多読では同じ文章を繰り返し読むことも推奨されているのですが、マークしておけば読み返しの際、どこで引っかかったのかすぐ分かりますし、マークしたところは一覧で確認することができるので、引っかかったところだけ拾い読みすることも可能。同じ単語を何度もマークしてたら、いろんな使われ方がすぐに確認できます。
タッチでそのページに飛べる
同じ単語がいろんなパターンで使われているのを読んでいると、そのうち頭の中にその単語のイメージがモヤモヤっと出来上がっていきます。例えば"awesome"な感じとか"wicked"な感じとか。俺はまだ多読初心者ですが、多分それが「英語を英語のまま理解する」ということだと思われます。
実はkindleも単語にアンダーラインが引けるので同じことが可能なんですが、タッチパネルがないので画面下のちっちゃいキーでちまちまちまちまカーソルを動かしてやらなきゃならない。勉強を兼ねているとは言え、読書は読書で楽しみたいですから、そうやってテンポが妨げられるのが俺は嫌なのです。
で、楽しく読んだら2度目は精読。モヤモヤのまんまで読んでた部分で辞書を解禁してしっかりと文意を掴んで読む。モヤモヤに掴んでいたニュアンスが頭の中に定着します。経験上、こうして覚えた単語は忘れづらいです。
Sony Readerにはジーニアス英和辞典がインストールされていて、単語をダブルタップするだけで検索できます。そのまま文書内の単語検索までできるので、用例探しにも使えます。
単語をタイプする必要すらない
電車の中でも辞書を使ってペーパーバックが読める。なんて便利なんだろう。Sony Readerを買う金があればkindleに英辞郎をインストールしてもお釣りがくるんですが、タッチパネルがないので以下同文。
どうやって本を入手するか
さて、ここでちょっとした問題があります。この記事を書いている現時点で、日本語版のSony Readerではebookstore.sony.comで購入した本が読めません。
なんだ、ただの致命傷か。
もうね、ソニーはユーザーを舐めるのも大概にしていただきたい。英和辞典を入れといて洋書が買えないって何なんだよ。企画は頭沸いてんのか。日本のReader Storeなんか品揃え・使い勝手共に話になんないレベルなんだからせめて自分のとこで売ってる洋書ぐらい読ませろよ!! ばーかばーか!! うんこ!!
現状、和書・洋書を問わず書籍の入手に関してソニーが提供している環境は最悪です。とはいえ、多読するに当たってタッチパネルの利便性は捨てがたいので、Reader Store以外から洋書を入手する方法を考えます。
……考えますけどね。こんな風にユーザーが考えて使いこなさなきゃならないまんまだったら普及しないよねこの製品。仕事しろよソニー。
1.Project Gutenbergからダウンロード
Project Gutenbergは世界中の著作権切れ作品を公開しているサイトです。いわばワールドワイドな青空文庫。作品名や作者名で検索のは勿論、カテゴライズもかなり詳細。「Chirdren's〜」なんてカテゴリもありますから、いきなりペーパーバックを読もうとして挫折した人でも大丈夫。
で、ここの何が素晴しいっていきなりEPUBでダウンロードできるんですよね。Sony Reader用に変換する必要一切なし。そのまま転送ソフトを使うなりフラッシュメモリに直でコピーするなりですぐ読めます。
作品ページの「EPUB」からダウンロード。kindle用もあります。流石は電子書籍先進国のアメリカといったところでしょうか。
33000冊。Sony Reader発表会のスットコドッコイな計算(月3冊)に基づくとゆうに900年分はありますのでこれだけでも一生読み続けられるんですが、ここにあるのは著作権切れのいわゆる古典。どうせなら最新の情報も欲しいですよね。
2.calibreを使う
ということでcalibreです。calibreはフリーの電子書籍管理ソフト。もちろんSony Readerでも使えます。こいつの一番の売りはニュースの自動取り込み。
メニューの「ニュース取り込み」から「ニュースの取り込み計画」を選択。立ち上がったウィンドウには世界のニュースサイトが羅列されていますので、好きなものを選んで取り込みのタイミングを指定するだけ。あとはReaderを繋いでcalibreを立ち上げれば自動的に最新記事をEPUBに変換して定期購読の書籍として取り込んでくれます。
calibreで取り込んだTime。記事内の画像や目次までレイアウトを整えて出力してくれます。カスタムで好きなニュースサイトのRSSを取り込むことも可能。VOA Special Englishは少ない語彙でニュースを配信してくれるので学習向きだそうです。興味がある分野の英語サイトを拾ってくるのもいいでしょうね。
世界の最新ニュースがすぐに読めますし、小説とニュースでは文体も違いますから英語学習という面から見てもメリットは大きいかと思います。
3.自炊する
なんだかんだ言っても、電子書籍の品揃えは実際の本には敵いません。結局読みたい本を電子書籍として読むなら今のところは自炊するのが一番早かったりします。
勿論モノによる話なのですが、結構Kindle Storeでも買えない本があります。先日もAgota Kristofの悪童日記三部作を探したのですが、無かったのでペーパーバックで買いました。(余談ですが、1作目の「The Notebook」はメチャクチャ読みやすいです。日記の体裁で、「事実しか書かない」というルールがあるので余計な修飾がなくて文がスッキリしてます。内容の面白さはお墨付きだし。おすすめ。)
で、スキャンしてPDF化。やり方は以前記事にしましたが(→本の電子化を始めたのでまとめる。)、OCRをかけて文字認識を行うので、原本はグレースケールの300dpiぐらいで取り込んでおくと安心かもしれません。
画像PDFができたらAcrobatで開いて、「文書(D) → OCR テキスト認識(C) → OCR を使用してテキストを認識する(R)」。日本語の漢字かな交じり文ですら90%以上の識字率で読み取れる今日びのOCRですから、アルファベットを読み損ねる道理は有りません。相当精度高いです。
出力設定はClearScanがいいでしょう。ていうかこれはほぼマスト。読み取った文字から自動的にフォントを生成して埋め込みフォントのPDFにしてくれます。この恩恵は計り知れません。
まずファイルサイズが激減。「The Notebook」を例にとれば、80.5MBが725kBになりました。容量節約なんて次元じゃないですね。最初はファイルが壊れたのかと思いました。
そして、文字が画像ではなくフォントになること。拡大してもガクガクにならないんですよ。
上が元データで下がClearScan出力。フォントは元データからの自動生成なのでちょっと線がプルプルしてますがそれでも読みやすさの違いは歴然。ズームしたりReaderを横持ちで使うときなんかに威力を発揮します。
あと、マーキングしながら読むならば最初に余白は「文書(D) → ページのトリミング(P)」でトリミングしておくほうがいいかと思います。Sony Readerには余白をカットして文字を大きく表示する機能がついているのですが、書き込みしようとすると標準の表示モードに戻しちゃうんですよね。だから最初からカットしておく。
ここはバージョンアップで改善して欲しいところですね。
最強の多読ツールは何か
以上。本の入手さえクリア出来れば(それが最大の問題だという話はさておき)、電子書籍リーダーの中ではSony Readerが一番多読に向いているかと個人的には思います。
俺は既に自炊環境を持っているので「Sony Reader最強」という結論になりましたが、使う人が何を重視するかで使い勝手なんていくらでも変わるので、自分のスタイルに合わせてkindleでもiPhoneでも好きなもん使えばいいと思います。俺もkindleにタッチパネルがついてたらそっち使うと思うし。
もし自炊環境も電子書籍リーダーもないまっさらな状態から始めようとするならば。
……やっぱり俺は自炊環境+Sony Readerの購入をお勧めしますかね。初期投資が高いほうが引き返しづらくなるので。
挫折しても責任は持ちませんが。
洋書読むんなら素直にkindle買っとけって話なんですが(ていうかウチにはkindleもあるんですが)、あえてSony Readerを選ぶのは何故かというと、タッチパネルがあるからです。
俺はSony Readerを自炊漫画リーダーのつもりで購入したので、正直タッチパネルは不要だと思っていたのですが、いざ学習用として考えるとこれが便利便利。
- 多読のルールその1。最初は辞書を使わない。分からない単語は推測する。
- 多読のルールその2。それでも分からなきゃ読み飛ばせ!
つーことで、しょっちゅう読み飛ばしながら進むんですが、その際分からなかった単語や文章はマーキングしておきます。
指とかスタイラスでマークできる
多読では同じ文章を繰り返し読むことも推奨されているのですが、マークしておけば読み返しの際、どこで引っかかったのかすぐ分かりますし、マークしたところは一覧で確認することができるので、引っかかったところだけ拾い読みすることも可能。同じ単語を何度もマークしてたら、いろんな使われ方がすぐに確認できます。
タッチでそのページに飛べる
同じ単語がいろんなパターンで使われているのを読んでいると、そのうち頭の中にその単語のイメージがモヤモヤっと出来上がっていきます。例えば"awesome"な感じとか"wicked"な感じとか。俺はまだ多読初心者ですが、多分それが「英語を英語のまま理解する」ということだと思われます。
実はkindleも単語にアンダーラインが引けるので同じことが可能なんですが、タッチパネルがないので画面下のちっちゃいキーでちまちまちまちまカーソルを動かしてやらなきゃならない。勉強を兼ねているとは言え、読書は読書で楽しみたいですから、そうやってテンポが妨げられるのが俺は嫌なのです。
で、楽しく読んだら2度目は精読。モヤモヤのまんまで読んでた部分で辞書を解禁してしっかりと文意を掴んで読む。モヤモヤに掴んでいたニュアンスが頭の中に定着します。経験上、こうして覚えた単語は忘れづらいです。
Sony Readerにはジーニアス英和辞典がインストールされていて、単語をダブルタップするだけで検索できます。そのまま文書内の単語検索までできるので、用例探しにも使えます。
単語をタイプする必要すらない
電車の中でも辞書を使ってペーパーバックが読める。なんて便利なんだろう。Sony Readerを買う金があればkindleに英辞郎をインストールしてもお釣りがくるんですが、タッチパネルがないので以下同文。
どうやって本を入手するか
さて、ここでちょっとした問題があります。この記事を書いている現時点で、日本語版のSony Readerではebookstore.sony.comで購入した本が読めません。
なんだ、ただの致命傷か。
もうね、ソニーはユーザーを舐めるのも大概にしていただきたい。英和辞典を入れといて洋書が買えないって何なんだよ。企画は頭沸いてんのか。日本のReader Storeなんか品揃え・使い勝手共に話になんないレベルなんだからせめて自分のとこで売ってる洋書ぐらい読ませろよ!! ばーかばーか!! うんこ!!
現状、和書・洋書を問わず書籍の入手に関してソニーが提供している環境は最悪です。とはいえ、多読するに当たってタッチパネルの利便性は捨てがたいので、Reader Store以外から洋書を入手する方法を考えます。
……考えますけどね。こんな風にユーザーが考えて使いこなさなきゃならないまんまだったら普及しないよねこの製品。仕事しろよソニー。
1.Project Gutenbergからダウンロード
Project Gutenbergは世界中の著作権切れ作品を公開しているサイトです。いわばワールドワイドな青空文庫。作品名や作者名で検索のは勿論、カテゴライズもかなり詳細。「Chirdren's〜」なんてカテゴリもありますから、いきなりペーパーバックを読もうとして挫折した人でも大丈夫。
で、ここの何が素晴しいっていきなりEPUBでダウンロードできるんですよね。Sony Reader用に変換する必要一切なし。そのまま転送ソフトを使うなりフラッシュメモリに直でコピーするなりですぐ読めます。
作品ページの「EPUB」からダウンロード。kindle用もあります。流石は電子書籍先進国のアメリカといったところでしょうか。
33000冊。Sony Reader発表会のスットコドッコイな計算(月3冊)に基づくとゆうに900年分はありますのでこれだけでも一生読み続けられるんですが、ここにあるのは著作権切れのいわゆる古典。どうせなら最新の情報も欲しいですよね。
2.calibreを使う
ということでcalibreです。calibreはフリーの電子書籍管理ソフト。もちろんSony Readerでも使えます。こいつの一番の売りはニュースの自動取り込み。
メニューの「ニュース取り込み」から「ニュースの取り込み計画」を選択。立ち上がったウィンドウには世界のニュースサイトが羅列されていますので、好きなものを選んで取り込みのタイミングを指定するだけ。あとはReaderを繋いでcalibreを立ち上げれば自動的に最新記事をEPUBに変換して定期購読の書籍として取り込んでくれます。
calibreで取り込んだTime。記事内の画像や目次までレイアウトを整えて出力してくれます。カスタムで好きなニュースサイトのRSSを取り込むことも可能。VOA Special Englishは少ない語彙でニュースを配信してくれるので学習向きだそうです。興味がある分野の英語サイトを拾ってくるのもいいでしょうね。
世界の最新ニュースがすぐに読めますし、小説とニュースでは文体も違いますから英語学習という面から見てもメリットは大きいかと思います。
3.自炊する
なんだかんだ言っても、電子書籍の品揃えは実際の本には敵いません。結局読みたい本を電子書籍として読むなら今のところは自炊するのが一番早かったりします。
勿論モノによる話なのですが、結構Kindle Storeでも買えない本があります。先日もAgota Kristofの悪童日記三部作を探したのですが、無かったのでペーパーバックで買いました。(余談ですが、1作目の「The Notebook」はメチャクチャ読みやすいです。日記の体裁で、「事実しか書かない」というルールがあるので余計な修飾がなくて文がスッキリしてます。内容の面白さはお墨付きだし。おすすめ。)
で、スキャンしてPDF化。やり方は以前記事にしましたが(→本の電子化を始めたのでまとめる。)、OCRをかけて文字認識を行うので、原本はグレースケールの300dpiぐらいで取り込んでおくと安心かもしれません。
画像PDFができたらAcrobatで開いて、「文書(D) → OCR テキスト認識(C) → OCR を使用してテキストを認識する(R)」。日本語の漢字かな交じり文ですら90%以上の識字率で読み取れる今日びのOCRですから、アルファベットを読み損ねる道理は有りません。相当精度高いです。
出力設定はClearScanがいいでしょう。ていうかこれはほぼマスト。読み取った文字から自動的にフォントを生成して埋め込みフォントのPDFにしてくれます。この恩恵は計り知れません。
まずファイルサイズが激減。「The Notebook」を例にとれば、80.5MBが725kBになりました。容量節約なんて次元じゃないですね。最初はファイルが壊れたのかと思いました。
そして、文字が画像ではなくフォントになること。拡大してもガクガクにならないんですよ。
上が元データで下がClearScan出力。フォントは元データからの自動生成なのでちょっと線がプルプルしてますがそれでも読みやすさの違いは歴然。ズームしたりReaderを横持ちで使うときなんかに威力を発揮します。
あと、マーキングしながら読むならば最初に余白は「文書(D) → ページのトリミング(P)」でトリミングしておくほうがいいかと思います。Sony Readerには余白をカットして文字を大きく表示する機能がついているのですが、書き込みしようとすると標準の表示モードに戻しちゃうんですよね。だから最初からカットしておく。
ここはバージョンアップで改善して欲しいところですね。
最強の多読ツールは何か
以上。本の入手さえクリア出来れば(それが最大の問題だという話はさておき)、電子書籍リーダーの中ではSony Readerが一番多読に向いているかと個人的には思います。
俺は既に自炊環境を持っているので「Sony Reader最強」という結論になりましたが、使う人が何を重視するかで使い勝手なんていくらでも変わるので、自分のスタイルに合わせてkindleでもiPhoneでも好きなもん使えばいいと思います。俺もkindleにタッチパネルがついてたらそっち使うと思うし。
もし自炊環境も電子書籍リーダーもないまっさらな状態から始めようとするならば。
……やっぱり俺は自炊環境+Sony Readerの購入をお勧めしますかね。初期投資が高いほうが引き返しづらくなるので。
挫折しても責任は持ちませんが。