「汝は人狼なりや?」というゲームがあります。通称「人狼」。最近はTV番組にもなっているので、知ってる人も多いかと思います。
平和な村に人狼が紛れ込みました。人狼は村人に化けて潜伏しており、夜な夜な村人を喰い殺していきます。人狼に村が滅ぼされる前にその正体を暴き、全員処刑台に送り込めれば村人の勝ち。村人を喰い尽くせば人狼の勝ち。
詳しくは先のリンクを参照してもらいたいのですが、ざっとルールを説明するとこんな感じです。
村人陣営には指定したプレイヤーの正体を知ることができる「占い師」や、他プレイヤーを人狼の襲撃から守れる「狩人」等の技能持ちも居て、彼らからの情報をきっかけに昼の議論を行なっていくことになります。
現在販売されている人狼カードの代表格、The Werewolves of Miller's Hollow(ミラーズホロウの人狼)。
左から、人狼・村人・占い師。最初の役割決定にしか使いませんから100円ショップのトランプにシールでも貼ってやれば十分なんですが、折角だからこういうものを使いたい。この怪しげなアートワークは嫌でも気分を盛り上げてくれます。
このゲームのポイントは「ホラ吹き上等」。人狼は正体がバレたら処刑されてしまいますから、昼フェイズでの議論では当然自分の正体を偽るために嘘をつくことになります。
人狼は舌先三寸で村人を騙くらかして、矛先を無実の村人に向けようとします。村人陣営は会話の中から論理破綻や挙動不審を見破って、人狼を処刑台に送り込めれば良し。そうでなければ村は滅びます。
俺はルールを読んだ時点で、これはめちゃくちゃ面白そうだと思いました。村人ならば、会話で情報を引き出しロジックを組み立てる楽しさを。人狼ならばでっちあげの嘘で猜疑心を煽りたて村人をミスリードするスリリングさを。
……味わえなかったんですよね、やってみたら。
その時は3回ぐらい遊んだかな。慣れてないと人狼が皆黙っちゃうんですよ。人狼は積極的に村人の数を減らすために虚実織り交ぜて人狼以外を処刑するように誘導していかなくてはならず、それこそがこのゲームの醍醐味。のはずなんですが、実際人狼になってしまうともう正体を隠すことだけに一杯一杯で、喋るどころじゃなくなっちゃうんですね。
例えば上のケースでAが占い師、B・Cが人狼だったとすると
そして、何の進展もないままBが吊られて次の日に。
この場合、Bは村人アピールだけではなく、疑いの目を他人に向けさせる必要がありますし、CはBをフォローすべく動くべきです。が、シレッと嘘がつけない。人って意外と真面目なんです。
これはゲームが悪いんじゃなくて、プレイヤーの習熟度の問題。繰り返しプレーしていれば段々と議論は白熱していくようになると思うんですが、今の所2度目の登場機会には恵まれてません。
何しろ始めるまでのハードルが高い。プレイヤーは最低でも7~8人は欲しいところですし、ある程度慣れたプレイヤーがいないとゲームが面白くならない。しかも会話時間を取るので1ゲームがそれなりに長い。そんな状況で面白みを感じられるところまでこのゲームを繰り返すかというと疑問です。他にも色々ゲームあるんだし。
で、ようやくワンナイト人狼の話。
名前の通り、勝負はたった一晩で決まります。投票により人狼を処刑できれば村人の勝ち、周りを煙に巻いてうまく逃げおおせれば人狼の勝ち。
コンポーネントは8枚のタイルのみ。ドット絵のキャラクターイラストは、気軽に遊べるゲームのイメージにドンピシャでマッチしています。
オリジナルの人狼と異なる点としては、一晩で終わることに加えて、タイルをあえて余るように配分するので役割の内訳が分からないことと、「怪盗」の存在。
怪盗の能力は、夜のうちに他のプレイヤーと自分の役割を入れ替えること。これがいい具合に場を引っ掻き回します。
これらの要素は、人狼というゲームの運任せ度合いを大幅にアップさせます。村に人狼が何匹紛れているかも分かりませんし、居ないことすらある。自分が人狼だと思って会話していたら、知らないうちに怪盗になっていたということもしばしば起こります。大体、一晩分の情報しか無いんじゃ完全なロジックなんて組み立てようもありません。
じゃあつまんないのかというと、全然そんなことないんですよね。どうせ運ゲーだし、どうせすぐ終わるし、と思うと皆驚くほどテキトーなこと言い出すんですよ。多少矛盾したことを言っても証明のしようがないし、良い意味での投げやりさが生まれて、会話が盛り上がりやすくなります。
「会話=情報」ですから、そこから推論を展開するのは楽しいし、その場しのぎの屁理屈で他のプレイヤーを操れたらしてやったりと思える。そういった人狼のエッセンスは残したまま、軽いパーティゲームに仕上がっています。
答え合わせが楽しいんですよね。
「すっかり騙された!」
「ほらね、やっぱり俺の思った通りだ」
どちらの結果になるにせよ、結果を踏まえてそれまでの会話を振り返る。感想戦こそがこのゲームのメインと言ってもいいでしょう。
大雑把な分、本家人狼に比べてスリルや緊張感には欠けますが、司会不要・3人からプレー可・熟練せずとも楽しく遊べてすぐ終わる、と有り余るメリットがあります。
中でも「すぐ終わる」というのは意外と大きくて、短時間で繰り返し遊べますから、初心者も早いうちに説得の仕方、騙し方のコツを学んでいきます。何でもそうですが、「実践 → 答え合わせ」の繰り返しは最高の学習法。遊ぶ程に楽しさは増していきますし、これで掴んだコツは本家人狼にも十分応用できるはず。人狼を始めとする正体隠匿系ゲームに興味がある人の入門用にもいいでしょう。
おおっぴらに嘘ついて許されるのなんかゲームの中だけなんですから、こういうのは存分に楽しんだもの勝ち。人狼は多少のボロ出しなんか気にせずにガンガン行けばいいし、ルールがそれを後押しします。積極的に狼少年になって楽しむのが良かろうなのですよ。狼少年っつーか狼男ですけどね。
平和な村に人狼が紛れ込みました。人狼は村人に化けて潜伏しており、夜な夜な村人を喰い殺していきます。人狼に村が滅ぼされる前にその正体を暴き、全員処刑台に送り込めれば村人の勝ち。村人を喰い尽くせば人狼の勝ち。
詳しくは先のリンクを参照してもらいたいのですが、ざっとルールを説明するとこんな感じです。
- プレイヤーはゲームマスター(司会者)が配布する役割カードによって村人陣営と人狼陣営に別れます。各プレイヤーは自分の正体を確認してゲームスタート。
- 夜フェイズ。皆が目を閉じている中、人狼になったプレイヤー達は目を開けて、どの村人を喰い殺すかを指し示すなどでゲームマスターに伝達。
- 昼フェイズ。ゲームマスターは、どのプレイヤーが死亡したかを宣告。生き残ったプレイヤー(勿論人狼含む)で議論をして、誰を人狼として処刑するかを投票で決定します。処刑されたプレイヤーはゲームから脱落。
- 以降、夜と昼を繰り返し。人狼が全滅すれば村人陣営の勝ち、村人が人狼と同数まで減らされたら人狼の勝ちとなります。
村人陣営には指定したプレイヤーの正体を知ることができる「占い師」や、他プレイヤーを人狼の襲撃から守れる「狩人」等の技能持ちも居て、彼らからの情報をきっかけに昼の議論を行なっていくことになります。
現在販売されている人狼カードの代表格、The Werewolves of Miller's Hollow(ミラーズホロウの人狼)。
左から、人狼・村人・占い師。最初の役割決定にしか使いませんから100円ショップのトランプにシールでも貼ってやれば十分なんですが、折角だからこういうものを使いたい。この怪しげなアートワークは嫌でも気分を盛り上げてくれます。
このゲームのポイントは「ホラ吹き上等」。人狼は正体がバレたら処刑されてしまいますから、昼フェイズでの議論では当然自分の正体を偽るために嘘をつくことになります。
A「俺、実は占い師なんだけど、昨晩Bを占ったら人狼だったから吊るそうぜ!」
B「待て待て、俺は村人だってば。お前人狼の騙りだな」
C「私が本物の占い師です。Bは村人でした」
D「少なくともAかCのどちらかは偽物なのね」
E「いきなり占い師宣言って怪しくない? 真っ先に人狼に狙われるじゃん」
F「私の戦闘力は53万です」
G「そういえば人狼のターンでAの方からなんか動いてるような気配がしたんだよね……」
A「適当言うなよ」
H「Bが人狼だとするとGも怪しいな」
G「何で私まで」
B「俺は村人だって言ってるだろ」
D「よしAとC両方殺そう」
C「おい待て」
人狼は舌先三寸で村人を騙くらかして、矛先を無実の村人に向けようとします。村人陣営は会話の中から論理破綻や挙動不審を見破って、人狼を処刑台に送り込めれば良し。そうでなければ村は滅びます。
俺はルールを読んだ時点で、これはめちゃくちゃ面白そうだと思いました。村人ならば、会話で情報を引き出しロジックを組み立てる楽しさを。人狼ならばでっちあげの嘘で猜疑心を煽りたて村人をミスリードするスリリングさを。
……味わえなかったんですよね、やってみたら。
その時は3回ぐらい遊んだかな。慣れてないと人狼が皆黙っちゃうんですよ。人狼は積極的に村人の数を減らすために虚実織り交ぜて人狼以外を処刑するように誘導していかなくてはならず、それこそがこのゲームの醍醐味。のはずなんですが、実際人狼になってしまうともう正体を隠すことだけに一杯一杯で、喋るどころじゃなくなっちゃうんですね。
例えば上のケースでAが占い師、B・Cが人狼だったとすると
A「俺、実は占い師なんだけど、昨晩Bを占ったら人狼だったから吊るそうぜ!」
B「いや、俺は村人だよ」
C「……」
D「……」
E「……」
F「……」
G「……」
H「……」
そして、何の進展もないままBが吊られて次の日に。
この場合、Bは村人アピールだけではなく、疑いの目を他人に向けさせる必要がありますし、CはBをフォローすべく動くべきです。が、シレッと嘘がつけない。人って意外と真面目なんです。
これはゲームが悪いんじゃなくて、プレイヤーの習熟度の問題。繰り返しプレーしていれば段々と議論は白熱していくようになると思うんですが、今の所2度目の登場機会には恵まれてません。
何しろ始めるまでのハードルが高い。プレイヤーは最低でも7~8人は欲しいところですし、ある程度慣れたプレイヤーがいないとゲームが面白くならない。しかも会話時間を取るので1ゲームがそれなりに長い。そんな状況で面白みを感じられるところまでこのゲームを繰り返すかというと疑問です。他にも色々ゲームあるんだし。
で、ようやくワンナイト人狼の話。
名前の通り、勝負はたった一晩で決まります。投票により人狼を処刑できれば村人の勝ち、周りを煙に巻いてうまく逃げおおせれば人狼の勝ち。
コンポーネントは8枚のタイルのみ。ドット絵のキャラクターイラストは、気軽に遊べるゲームのイメージにドンピシャでマッチしています。
オリジナルの人狼と異なる点としては、一晩で終わることに加えて、タイルをあえて余るように配分するので役割の内訳が分からないことと、「怪盗」の存在。
怪盗の能力は、夜のうちに他のプレイヤーと自分の役割を入れ替えること。これがいい具合に場を引っ掻き回します。
これらの要素は、人狼というゲームの運任せ度合いを大幅にアップさせます。村に人狼が何匹紛れているかも分かりませんし、居ないことすらある。自分が人狼だと思って会話していたら、知らないうちに怪盗になっていたということもしばしば起こります。大体、一晩分の情報しか無いんじゃ完全なロジックなんて組み立てようもありません。
じゃあつまんないのかというと、全然そんなことないんですよね。どうせ運ゲーだし、どうせすぐ終わるし、と思うと皆驚くほどテキトーなこと言い出すんですよ。多少矛盾したことを言っても証明のしようがないし、良い意味での投げやりさが生まれて、会話が盛り上がりやすくなります。
「会話=情報」ですから、そこから推論を展開するのは楽しいし、その場しのぎの屁理屈で他のプレイヤーを操れたらしてやったりと思える。そういった人狼のエッセンスは残したまま、軽いパーティゲームに仕上がっています。
答え合わせが楽しいんですよね。
「すっかり騙された!」
「ほらね、やっぱり俺の思った通りだ」
どちらの結果になるにせよ、結果を踏まえてそれまでの会話を振り返る。感想戦こそがこのゲームのメインと言ってもいいでしょう。
大雑把な分、本家人狼に比べてスリルや緊張感には欠けますが、司会不要・3人からプレー可・熟練せずとも楽しく遊べてすぐ終わる、と有り余るメリットがあります。
中でも「すぐ終わる」というのは意外と大きくて、短時間で繰り返し遊べますから、初心者も早いうちに説得の仕方、騙し方のコツを学んでいきます。何でもそうですが、「実践 → 答え合わせ」の繰り返しは最高の学習法。遊ぶ程に楽しさは増していきますし、これで掴んだコツは本家人狼にも十分応用できるはず。人狼を始めとする正体隠匿系ゲームに興味がある人の入門用にもいいでしょう。
おおっぴらに嘘ついて許されるのなんかゲームの中だけなんですから、こういうのは存分に楽しんだもの勝ち。人狼は多少のボロ出しなんか気にせずにガンガン行けばいいし、ルールがそれを後押しします。積極的に狼少年になって楽しむのが良かろうなのですよ。狼少年っつーか狼男ですけどね。
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