このゲーム、以前からドイツ語版が「あーぎ!てくと」というタイトルで流通していますが、微妙にタイトル変更されて(Aargh! tect → Ugg-tect)英語版が発売されました。それに伴い和訳タイトルも変更になったようです。内容は全く同じ。箱絵とコンポーネントのイラストが微妙に異なるようです。


 個人的には、「あーぎ!てくと」の名前が好き。箱はどっちでもいいや。今回買えたのは「あ〜ぐてくと」の方なので、このエントリのタイトルはそれに準じます。

 まず目を引くのがビニール風船製の棍棒。あとは積み木とカード、原始語指示リスト。


 日本語化した指示リストとカードのアップ。これだけでゲームの内容は概ね推測できるかと思います。

 2チームに別れ、それぞれ建築家を1名づつ選び棍棒を渡す。残りのメンバーは作業員となります。建築家はジェスチャーと原始語、そして作業員を棍棒で殴りつけることにより作業を指示、カードのイラスト通りのモニュメントを正しく作成できれば得点となります。

 ジェスチャーはパーツの種類、原始語はパーツの動かし方、棍棒はYes/Noを表します。作業員の行動が正解なら棍棒1回、間違いならば2回。どちらにせよ殴られる理不尽。

 もちろんゲーム中は一切日本語禁止。

「あんがんが!」
「うが」
「あんがんがあんがんが!」
「うがが」
「かぎんが!」
「うが?」
「ふんがー!!(2回殴る)」

 そんなことをしているうちに相手チームのモニュメントが完成。

「あーぎてくとぉー!!(完成)」

 で、審議タイム。繰り返しますが日本語禁止。

「うが?」
「んば!(うなづく。良いらしい)」
「んが! うがうがうが!!(カードとモニュメントを交互に繰り返し指差す)」
「ふんが!!(気づいた)」

 よく見ると青と白のパーツの左右が逆。しつこいようですが判定も日本語禁止。

「んどぅばー!!」(棍棒で相手の失敗モニュメントを叩き壊す)
「んごーん!!」

 失敗したモニュメントはマイナス点。完成したモニュメントの合計点が先に10点を超えたチームの勝利になります。

 以上、ほぼ実際にあったやりとり。みんな最初は照れもあるんで結構おとなしいんですよ。でも白熱してくるとだんだん皆のノリも良くなってリアル原始人化してくる。

「あーぎてぐどぉー!!(わざと訛る)」
「うほーぅ!!(全員でガッツポーズ)」

 息合いすぎだろ。

 「あんがんが」「からんが」等の指示語以外は別に発声の必要はないのですが、やってるうちにデタラメな原始語が自然と出てくる。面白いもんだなあ。


 面白すぎて全然写真撮ってなかったので、BGGから別バージョンのアートワークでも。これはフランス語版かな? シンプルなのも壁画っぽくてまた良し。



 単純な言語でのコミュニケーションというのは想像以上にもどかしく、早いもの勝ちのルールと相まって良い感じに混乱を招きます。特にゲームデザインで上手いと思うのが、同じ言葉を2度繰り返すと全く逆の意味になるということ。(例:「かぎんが(左)」「かぎんがかぎんが(右)」)

 でも、伝わらないと思わず連呼しちゃうんですよこれが。かぎんが! (かぎんがだってば!) かぎんがかぎんが! 

 そして作業員の方は1回なのか2回なのか訳わかんなくなると。

 出せる指示がシンプルすぎるのも面白さの要素。右って言われても自分から見て右なんだか建築家から見て右なんだか分からない。回せって言われたってどういう軸でよ? その辺りも建築家の性格が出るところ。

 でもコミュニケーションのギャップは棍棒で埋めればいいんです。ぼこぼこ殴られつつ、「あ、こいつは"俺から向かって"の方向で指示を出してくれているな」というように要領が掴めてくるわけです。意志が通じるのも嬉しいですが、何よりその画ヅラが面白すぎるでしょう? これはYESもNOも殴るようにしたデザイナーの大勝利ですよ。

 英語版の日本語訳はアークライト。なぜか指示語のUが全部ア音で訳されていて気になるのですが(例:MANUNGU → まなんが)、まあ全員の共通認識になれば何でもOKっちゃOK。通じりゃいいので好きな発音でやりましょう。完成の雄叫びだって「あーぐてくと」でも「あーぎてくと」でもいいんです。

 そんなことはみんなで雄叫びあげてたらすっ飛ぶから。「ウパー!」とか叫ぼうぜ。