MBK RD400-AL

 2011/10/01納車。

 まさか「1年後ぐらいに」ってエントリ書いた1ヵ月後に買うことになるとは俺も思ってませんでしたが。


 購入の経緯。

 嫁さんも自転車に乗ろうかなと言い出す → もう一台クロスバイクを探す → 風が吹く → 桶屋が儲かる → ロード購入

 分かりやすい。

 ここから教訓を得るとするならば、物欲でパンパンになってる人間には余計なことを言わないほうがよろしい、って事ぐらいでしょうか。何言われても喜んで背中を押されちゃうから。


MBK RD400-AL

 買ったのはMBKのRD400-AL。想定してた予算を余裕でブッちぎってしまいましたが、気に入っちゃったもんは仕方ない。

 MBKはフランスのメーカー。日本では取り扱いも少なくマイナーなのですが、とにかく日本の代理店がきちんとした仕事をしているという話でした。例えば日本向けのフレームはわざわざ日本人の体格に合わせて図面を引き直すとか、そういうことを代理店主導で行なっていると。

 つっても俺はそもそもロード乗ったことがないのでその辺の良し悪しはさっぱり分からないのですが、いい仕事してんのはお店で写真見るだけでも伝わってきました。

 いちばんインパクトを受けたのがここ。


RD400-ALのシートチューブ

 アルミ製なのにこの接合部の美しさときたら。7.5FXと比べると一目瞭然ですけど、溶接跡が全然ないんですよ。


7.5FXのシートチューブ

 別に7.5FXが雑な仕事をしてるって訳じゃなくて、これが普通なんだと思います。多分接合面が綺麗だったところで性能には全く影響がない。

 でも、工業製品のこうした部分にどうしようもなく心を揺さぶられてしまう性質が俺にはあります。もちろん自転車は乗ってナンボですけど見て愛でることもしたいのですよ。格好いいと思えるチャリに乗りたいじゃないですか。

 cyclowiredに写真がいっぱいありますけど、独特のフロントフォーク形状とか、メーカーロゴが必要以上に主張してないあたりもかなり好きで。

 カラーリングもいいですよね。黒メインの前半分と白メインの後ろ半分。間を取り持つグレーのグラデーションに、オレンジの差し色。好きな配色です。

 嫁「フォーゼ」


仮面ライダーフォーゼ

 うわーやめろやめろフォーゼ色にしか見えなくなるからやめろ。

 嫁「宇宙キタ夫」


宇宙キタ夫

 やめてやめてやめて俺のチャリに変な名前つけないでお願い。


乗った

 軽い。速い。何これ。何だこれ。凄ぇ。怖ぇ。面白ぇ!!

 機材が違うだけでこうも変わるものなのか。軽く引いたわ。そして笑う。走ってて。

 クロスバイクで22~3km/hだった鼻歌ペースが27~8km/hに。30km/hオーバーの維持もラックラク。ギアを重くしてしっかり踏んだら40km/hとか超える。

 クロスバイク比で平均速度+5km/h、最高速度は+10km/h以上。もはや違和感に近い。これは本当に俺の脚力から出ている速度なのか? という違和感。どう考えても自分の実力以上の出力が出てるよこれ。

 向かい風や上り坂でも踏んだだけグイグイ進む。無風状態ならば常に弱い追い風を味方に付けているような爽快感。部品の精度とかタイヤの太さって本当にこんなに効くのかよ!? いや速いんだけどね実際!!


止まらない

 思うにこの速度の正体は加速性能ではなくて「止まらなさ」。

 エンジンである俺の脚力は変わらないんだから、いくら効率よく車輪に伝えた所で推進力が劇的に変わるとは思えない。だとすれば他にも車体の重量や回転機構の滑らかさ、前傾姿勢による風の抵抗の削減、タイヤの設置面積の縮小、そういった諸々でパワーロスが少なくなるように最適化を施した結果がこれだということになるわけで。

 一度つけた勢いを極力殺さないように創り出された構造。ひと踏みのパワーだけで可能なかぎり遠くへ進めるように作られた機械。それがロードバイクなのだと思います。

 チャリに乗ってる時、「ここからあそこの電柱まで漕がずに着けたらいい事がある」的な願掛け。誰でもやったことあると思うんですが、それを究極まで突き詰めるとロードになるんじゃないでしょうか。ちょっと踏んで勢いをつけてやれば、あとは電柱の20本や30本ぐらいは漕がなくても進めそう。そよ風が吹いていれば、座ってるだけで風下に向かってどこまでも進んで行ける。

 ロードバイクは本来スポーツギアとして「速く走る」ために進化してきたのでしょうが、俺にはそれに付随した「楽に遠くに行ける」という側面こそがありがたいんですよね。できるだけ疲れたくないヘタレなので。


千葉県横断してみた


体バッキバキ

 首痛ぇ背中痛ぇ肩痛ぇ腰痛ぇ股痛ぇぇぇぇ……。

 上記の「楽」「疲れない」に矛盾していると思われるかもしれませんが、最初は10km乗っただけでこうなりました。正直ロードを買ったのは失敗だったんじゃないかって不安になったのですが、慣れますね、すぐに。

 長時間前傾姿勢をとっていることによる筋肉の疲労なので、ちょっと休憩すればすぐ痛みは抜けます。信号待ちの際はハンドルから手を離して背筋を伸ばす。むしろ反る。腕や肩のストレッチもしちゃう。それだけで走行可能な距離がどーんと伸びました。それでも疲れたら降りてどっかで休憩すりゃいいんです。

 それに、疲労するのはそれらの筋肉を普段使ってないからであって、乗ってるとある程度まではすぐに持久力付いてきますね。70点を100点にするより20点を50点にする方が楽なように、普段使われずにヘタり切ってる筋肉ほど使いだせば成長も早い。

 ……のかどうかは実際のとこ分かりませんが、通算走行距離180kmの現在、20kmぐらいならノンストップでいけるようになりました。40kmはまだ休憩入れないと背中痛い。

 あと股の痛みだけはどーにもならんですね。これ慣れるんだろうか。

 とりあえずこういうものを買ってみましたが、効果の程はある程度乗ってみてから。それでもダメならサドル沼に片足突っ込むことになるんでしょうね。


道こそがロード

 折角ロードを買ったので、以前「こんだけ走れるならチャリで実家に帰れるじゃん!!」と感じたままに実行してみました。

 俺の実家は千葉なので、実家に寄りがてら千葉県横断して九十九里浜まで。そこから日が暮れるまでに行ける所まで南下して電車で輪行、というプラン。初日の体バキバキの次がこれだったので我ながら無謀だったとは思いますが、ダメだったらすぐ電車に乗っちゃえばいいと思って。

 前輪だけ外すタイプの輪行袋。ホイールをフレームに留めるためのストラップを使ってサドル下に括って行きました。これ自体の使い勝手についても色々書きたいんですが、本題から外れるのでそのうちまとめます。

 輪行の良いところは帰りの体力を残さなくて良いという点。どこでもいいから駅にさえ辿りつければ帰れるという安心感。勘だけで思う様走りまわって、疲れたら携帯で近場の駅を探して、自転車包んで帰ればいい。

 そんな風にいつでも挫折できる状態にしてスタートしたのですが、今回は挫折せずに何とかなりました。

 自転車で遠くに行くという行為がどういうことか。何が楽しいのか。

 最近Tumblrから流れてきた名言に、
一人旅はコンテンツ自体を楽しむもの
二人以上の旅はコンテンツを通して人との関わりを楽しむもの
全く別物だと考えるべき
 というのがありまして。

 一人でフラッとチャリを乗り回すのはコンテンツを楽しむ旅。たとえ数時間でもここは「旅」と言っときます。目的地があっても無くてもいい。

 んで、自転車の旅の何がユカイかって、道そのものがコンテンツになるということなんですね。

 坂道をヒーコラ登るのも、下りでヒャッハーするのも、オアシスたるコンビニで休憩するのも全てがイベントになる。道端に変なもん見つけたらすぐに止まって写真が撮れるし、自転車視点でなければ目に入らないものもある。


海の家「密漁船」の看板。誰だこんな名前つけた奴

 わざわざ車止めてまでこんなしょーもない写真撮らないでしょ。

 自転車で遠出をしたときは道の見え方、ひいては世界の見え方が普段と変わります。それが美しく素晴らしく変わるかどうかは知ったこっちゃないのですが。コンビニがオアシスに見えたところで別に世界は美しくなりゃしません。

 でも、違って見える事自体が面白いんです。


 ちなみにこの日は外房線の上総一ノ宮駅から帰りました。よく横須賀線・総武線快速の終点として名前を聞く以外は全く縁のなかった場所。わざわざそんな所まで意味もなく来てみるのもまた楽しい。


GPSログ

 走行距離85.60km。


目的は果たせず

 ロードを買うときに心配だったのは、まだまだ買ったばっかりのクロスバイクに乗らなくなっちゃったら勿体無いなという事だったのですが、あんまり問題なさそうです。根本的にクロスとロードは別物。

 クロスはそのままママチャリの代替品として街中の移動手段として使えますが、ロードは否が応にもスピード出ちゃうので細い道を何度も曲がりながら進むといった用途には向きません。歩行者の多い道でゆっくり走ろうとしたら神経使っちゃって逆に疲れる。

 そもそも幾ら厳重にカギをかけたとしても、街中に放置して買い物とか飯食いに行くとか恐ろしくって出来ないわこれ。ラーメン屋の前とかにワイヤーロック一本で駐輪してるのをたまに見ますけど、すげえ度胸だと思う。

 俺の場合、それが出来るのはクロスまで。そもそも単価が安いクロスなら転売目的の泥棒は減るでしょうし、クロスはよく見るとそこら中に停められてる。その中で前輪・後輪・地球ロックといった具合にがっちりカギをかけておけば泥棒も面倒臭がって防犯対策が甘い方を狙うんじゃないかなあと。

 なんにせよ自転車泥棒は全身の穴という穴から変な汁を垂れ流して死ねばいいと思いますが。

 そんなわけで、ロード購入の口実であった「嫁さんと自転車で外出」という目的は果たせてません。



 なので、多分そう遠くないうちにクロスがもう一台生えます。



 何それ怖い。