俺内自転車ブーム真っ盛りなので、自転車関係の書籍・雑誌・漫画などを色々買っています。

 自転車漫画の傑作と言えば、「シャカリキ! 」は外せない。猛烈に熱くて、クライマックスでは涙すら出てきたもんですが、当時の俺は読んで自転車に乗りたいとは思いませんでした。

 何故なら主人公をはじめ、登場人物は皆がみんな自転車バカ。自転車に乗らない者から見れば、熱い熱ーいロードレースの物語は自分から切り離されたどこか遠い世界のファンタジーだったわけです。
 一方、この「のりりん」の主人公・ノリは自転車嫌いを公言して憚らない。



 何とも見事なdisっぷり。何しろこの漫画、「あージャマくせえチャリ野郎」の台詞から始まりますからね。

 こういう主人公が、自転車との軽い接触事故をきっかけに、無理矢理自転車の世界に引きずり込まれる。

 「自分は自転車が嫌いなんだ」と言い聞かせ、自転車に触れもしなかったノリが初めてロードバイクに跨り、徐々にその魅力に気づいていく。(というか、早々に感じてるんだけどなかなか認めない。)

 初めて全力でペダルを踏んだ時の8ページにわたるモノローグ。


 一部だけ引用。俺はロードではなくクロスバイク、それも乗り始めてまだ1ヶ月と少ししか経っていませんが、最初の感想にこれと同じ「原始的」という言葉を使っただけに、深く共感する部分です。

 自転車は楽しい。それが当たり前であるという所からスタートしている多くの自転車漫画と違って、ただペダル踏む行為がどれだけ楽しいか、ということをこれでもかこれでもかと描写してくれるんですね。それは自転車に乗らない人間が興味を持つための導線です。


 そういう意味でもこの一瞬デレかかるシーンなんか最高ですね。すんげー楽しそう。

 自転車乗りが集まるラーメン屋。そこの女将があの手この手でノリを自転車の世界に引っぱり込もうとする行為を称して「草の根活動」と言われていますが、この漫画自体がまさにそれなんでしょう。

 俺はこの漫画をクロスバイク購入の後にまとめ買いしたのですが、最初から連載追ってたらもっと早く自転車買ってたかも知れないと思いますし、今はロード欲しい熱が思いきり増幅されております。


 結局のところこれが全てだったりするのですが、その最初の一歩に至るまでの障壁をググっと押し下げることは間違いありません。

 ロードに関するウンチク山盛り。時には台詞でページが埋め尽くされることもあり、漫画としてどうなのよって部分もあるんですが、素人の身としてはそれが逆に面白く、ありがたい。ひとたび興味を持ったら、それをグイグイと深めていけるようになっています。今本誌に掲載中の購入編もすごい参考になる。

 いや、まだロードは買わないけどね。まだ。今のところ。多分。



 ところで俺は読んでる間ずっと、「女将が何かに似ている……日本妖怪?」と思っていたのですが、答えはハンターハンターのこの人でした。


サダソさん

 考え続けてようやく思い当たったので言っておきたかっただけです。おわり。