じわっと面白い。
芦川組の若手ヤクザ・新田の部屋に突如転送されてきた楕円形の物体。その中に入っていた超能力少女・ヒナは追いだそうとする新田をサイコキネシスで脅し、無理やり彼の部屋に居着くことに。
世話係
いい顔
強面キャラがトラブルメーカーに振り回されて右往左往するというのはコメディではよくあるシチュエーション。特に目新しいという訳ではないんですが、それだけではない、よく分からない面白さがあります。
ヒナは圧倒的な力をタテに新田に言うことを聞かせているわけですが、普段は超能力を使わないとか、割と素直に新田の言いつけを守っています。他にもトラブルを起こしてしまったことを言い出せずに黙っていたり。
新田とヒナの力関係が曖昧なんですよね。で、このイイ感じの曖昧さが作品全体に漂うフワッとした感じの面白さに繋がってるんじゃないかと思います。
呼び捨て
要するに、ヒナは新田に懐いているのですね。無理やりさせた事ではあるものの、してもらった事に対して恩義は感じている。あれをしろ、これをしろと命令する「私の知っている大人」とは違う、と。
じゃあ新田は弱きを助け、強きをくじく任侠ヤクザなのかというと全然んなこたぁなく。喧嘩は大したこと無いが金儲けは得意。組長には如才なくゴマをすり、金を貸し付けた相手には容赦のない取立てをする。ヒナにも力で勝てないから従っているだけで、優しさ故ではありません。
ただ、決して善人ではないのですが、通すべき筋は守る。
義理は欠かない
またある時は、ヒナの力を利用して一仕事。「私の知っている大人と変わらない」と拗ねるヒナに対しては。
イクラ大好き
「ヒナよ 大人の社会ではな 労働にはそれに見合った報酬を得るんだ」
「これが大人の世界…」
世間知らずなヒナを食べ物で釣った、と言ってしまえばそれまでなんですが、何だか良いシーンじゃないですか。子供扱いではありますが、一個の人間として新田はヒナを扱っているんですから。
とまあ、どのエピソードもこのように良い話風にまとまるんですが、あくまで「風」であって実際のところは全然良い話ではないです。でも、良い話風にすることそれ自体がひとつのギャグとしてうまくまとまっているし、新田とヒナがなんだかんだで共存関係を築いている辺りがじわじわニヤニヤと面白い。大爆笑はないんですが、なんか繰り返し読みたくなる味わいがあります。
ヒナの持っている「大人」観などに、ヒナの過去や正体に対する含みもあって続きが楽しみ。とはいえあんまりシリアス方面には傾けずに、今のままのグダグダ感を維持してくれるといいなと思います。
狭いジャンル
話変わりますけど、このアンケートハガキの設問は何がしたいんでしょうかね。
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