今年4月公開予定の「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」の原作です。予告のあまりの馬鹿馬鹿しさに思わず検索をかけたら見つけました。



 ニートでゲーオタのスコット・ピルグリムは売れないバンドのベーシスト。夢のなかで見た女の子、ラモーナ・フラワーズと現実に出会って一目惚れ。強引に口説き落として付き合い始める。

 しかし、ラモーナと付き合うためには彼女の7人の悪の元カレ(seven evil ex-boyfriends)を倒さなければいけないのであった。

 何を言っているのか分からないと思いますが、俺も書いてて訳がわかりません。上の予告を見て「ああ、そういう話なんだ」と理解してください。編集のせいで唐突な話になっているのかと思いきや、原作も全くそのまんまでした。

 男女がくっついたり別れたりイチャイチャしたりするコメディの中、突然何の説明もなく超能力バトルが始まります。

 予告にもある第1の元カレ、マシュー・パテルとのバトル。


「空中コンボ入った!」
「決まったわね。スコットがこの辺じゃ最強のファイターだって知らなかったのかしら?」

 知らねえよ!! 

 このバトル一つとっても、普通に空飛んでたり召喚術使ったりエネルギー波出したりバリア張ってたりするのですが、個々のキャラクターの戦闘能力には基本的に何の説明もありません。あっても「ベジタリアンだから超能力が使える」とかなので何の意味も成しません。

 気にしちゃいけません。そういう漫画なんです。作者のBryan Lee O'Malleyは年齢的にファミコン世代ど真ん中。結構なゲーオタの様子で、作中にもゲームネタが多数出てきます。レゲー多し。


元カレ倒すとアイテム出たり

 何のこたあない、力士が数メートルジャンプするメガドラの「ああ播磨灘」のように、ゲームの文法に従ったらこうなっちゃった、というだけの「普通の」若者のお話なのですね。ただちょっと目からビームを出したり、サムライソードでバスを両断したりするだけで。

 ゲーム好きってことで、日本の漫画・アニメの影響もあるんでしょうか、画風もアメコミ特有の(カナダの作家ですけどね)くどいものではなく、日本の漫画とパワーパフガールズとかのカートゥーンをブレンドしたような、ぶっとい線で見やすい絵柄。キャラクターもかわいい。

 ダメ男のスコットと、過去と決別して自分を変えたいラモーナ。二人が悪の元カレとの戦いを通じて成長していき愛を深めていくストーリーなのですが、俺は割とその辺どうでもよくて。

 そんなことよりスコットの元カノのナイヴス・チャウが可愛いのでどうしてくれようかって感じです。


 中国系、17歳の女子高生。母親に「好きな男の子はいないの?」と聞かれて「興味ない」と答えていた彼女が偶然スコットと出会い、ベタ惚れ。年上のスコットを相手に一生懸命背伸びして付き合い続けるも、ラモーナと二股かけられた上に振られる。

 そして、「スコットは若すぎる私を傷つけないように別れたの!! そして彼は今あの女にたぶらかされている!!」という独自の解釈により、髪を染め、イメージチェンジをしてラモーナを殺しにかかります。


 なんつーか、この子の空回りや若気が至っちゃってる感じが非常にかわいい。頭なでてやりたい。相対的にスコットのろくでなしぶりが引き立って主人公に感情移入できないんですけどね。


 この後も、スコットに嫉妬させようと他の男と付き合って見せたり、ラモーナのピンチに助太刀に現れたり。ええ子や。バカだけど。

 なんか公式のPVを見ると花沢さん扱いなのが納得いきませんが。まだ公開されてないから何とも言えませんが、映画を観て気に入った人は花沢さんじゃないナイヴスを見るためにも是非原作を読むべきなんじゃーないかと思います。現在日本語版も発売中。


 1,2巻分を収録。日本語版はまだこれしか出ていませんが、3月末に3+4巻、4月末に5+6巻が発売されるようです。日本語になると紙面の雰囲気も変わると思うので読めるなら英語版をお勧めしますが。

 あと、話が発散して何なんですが、PS3/XBOXでダウンロード専売のゲームも出ています。→SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD: THE GAME

 これがまた強烈にレゲーを意識した作りで、っていうか「ダウンタウン熱血物語」そのもので、ファミコン世代にはたまらない出来。原作同様ゲームパロディ満載。1500円なら十分元が取れると思います。こちらも強力におすすめ。(おっさん限定)