なにこれスゲー面白い。

 なんつーか地味で全然購買欲をそそらないパッケージなんですがね。箱絵の人たちなんか眼の焦点合ってないし。パンデミックの時にも箱に文句を言っていたような気がしますが、最近分かってきました。ゲームにとって大事なのは箱じゃない。(あたりまえ)

全体図

 プレイヤーは15世紀スペインにおける1領土の大公となり、互いに足を引っ張り合いながら権力争いをしていきます。権力の基盤、それは勿論領土。プレイヤーは自分の配下の騎士を各領土に派遣し、その領土に多数の騎士を配置したプレイヤーから順に高い得点を得られます。


バレンシア地方

 上の画像は、バレンシア地方だと最大勢力から順に5点/3点/2点が貰えることを表しています。4位以下は得点なし。要するに陣取りですね。3回ある点数計算ラウンドの前に手駒を如何に有効に配置するかというゲームです。

 騎士を配置するに当たってのルール。

  • 国王コマのある領土は絶対不可侵。変更は認められない。
  • 騎士を配置できるのは国王の領土に隣接している領土または城の中のみ。
 

王様・城・騎士のみなさん

 当然ですが、騎士駒は好きな時に好きなだけ配置できるわけではなく。ここがよく出来てるところなんですが、各ラウンドのプレイ順を決めるためにプレイヤーはパワーカードと呼ばれる数字カードを出して、その数値が大きい順に騎士の配置その他の行動が取れるのですが、このパワーカードに手駒として獲得できる騎士の数が書かれているのです。

 当然、手番が遅くなる方が多くの騎士を手駒にできます。時間をかけて田舎から多くの人材を自分の屋敷に連れてくるわけですね。しかし、ちょっとややこしいのですが、それがそのまま領土に配置できるわけではありません。

 プレイヤーは自分の手番にアクションカードを選択します。これはアクション、つまり特殊効果の他に騎士アイコンが1〜5個書かれていて、その数だけ騎士を配置できます。で、これが早い者勝ち。手番順に選ぶ事になります。


アクションカードとパワーカード

 ここにジレンマがてんこ盛りになってるわけですね。

 手元の騎士が足りないからパワーカードは小さめのを出しておきたい。でも強力なアクションカードが出てる、とか。このアクションがしたいけどそれだと騎士が1人しか配置できない、とか。ここは強いパワーカードを温存して次に勝負をかけるか? とか。

 手番にすること自体はシンプルなのですが、天秤にかけるべき要素が多いんですね。一点集中で拠点を作るか広く浅く影響力を拡散させるか。手番を早めて先行逃げ切りか、相手の出方を伺ってからの最善手を打つか。勿論他プレイヤーも同じような事は考えてますから、思い通りの手が打てるとも限らないと。

 アクションカードの効果も国王や配置された騎士を移動させるとか、特定の領土で即座に得点計算を行うとか単純なものですが、使い方が色々考えられて悩ましい。特に騎士移動系。


アクションカードで王様移動中

 「同率1位は2位の得点しか得られない」というナイスルールがあるので、ある領土で2位の人の騎士を適当な領土から持ってきて1位の人と同じ数にしちゃえば2位を利することなく1位を引きずり下ろせる。持ってくる騎士はそいつが1位を取ってる他の領土からにすればなおよし。

 でも、そんなアクションカードは騎士配置可能数が少なかったりするのね。自分が出来ることは他のプレイヤーにも出来るわけだし。良くできてるなあ。限られたリソースの有効活用。最小限の力で最大の効果を得るように企てる。ポイントは如何にスマートに嫌がらせをするか。もう、すんげー楽しいコレ。

 しかも楽しい要素はまだあったりする。それがコンポーネントの中でも一際目立つ城の存在。城はそれ自体が独立した一つの領土扱いで騎士の配置が可能。得点計算の対象になるのですが、駒は城の中に入れるのでブラックボックス状態になります。

 んで、城の得点計算が終わった後、中の騎士はまとめて任意の領土に移動させてから領土の得点計算に移る。この移動次第で一発逆転とは言わないまでも戦況が大きく変わっていきます。


城、オープン。

 この城を開けるときが楽しいんですよ。ザラッと大量の騎士が転がり出てくると笑いが起きる。「オイ、青入れすぎだろ!!」みたいに。城に騎士を配置するときは数を宣言するので全部覚えておくこともできるのですが、大体の数をなんとなく掴んでおく位の方が意外性があって楽しいと思います。
 
 さて、無駄に長くなりましたが面白さがちょっとでも伝わったかな。このゲーム、城とか王様とか立派なコンポーネントはあるものの、基本的に見た目が地味で取っ付きが悪いんですよね。んじゃ何で買ったかっつーと、名作だと言われているのを聞いてBGG和訳ルールを見たら面白そうだったから。

 まあやってみるのが一番早いんですが、こんなドマイナー趣味をおいそれと試せるもんでもないので、興味のある人はルールでも見てそこから生まれる足の引っ張り合いを想像してみてください。それでワクワク出来る人はボードゲームのドツボに嵌る素質があると思います。