「かしこいけん」と読みます。

 最終4巻発売記念&打ち切り追悼。俺はこの漫画すげえ面白いと思うのですが、案の定というか、ジャンプには合わなかったんでしょうね。むしろ俺は連載予告の時点で突き抜けると思っていた位なので良く持ったほうだと思います。

 あらすじ。世界中を飛びまわる両親から日野兄妹の元に「弟」として届けられたのは人の言葉を喋る賢い犬リリエンタール。リリエンタールの体が光ると不思議な出来事が巻き起こり……。



リリエンタール

 うーん、かわいくない。

 このブサイク面を見てウザい押しかけ同居人が騒動を巻き起こすドタバタギャグコメディかと思いきや、さにあらず。リリエンタールは一途でひたむき、真面目で素直。ギャグメインではなくしっかり芯の通ったストーリー漫画になっています。

 リリエンタールの周りで起こる不思議な現象は、彼自身が持つ「人の心を具現化する」という力によるもの。例えばテレビのヒーローを現実世界に出現させてしまったり、逆に怪談話の幽霊船の中に迷い込んでしまったり。

 俺のお気に入りはリリエンタールの落書きから生まれてしまったスーパーうちゅうねこ。


きゅうりが大好きです

 この顔で非常にクレバーな思考と会話をなさるねこさんです。

 そして、このようなリリエンタールの力は謎の組織に狙われます。リリエンタールを守るため、ジャンプらしくバトル漫画になるかといえばそうでもなく。なんとなくのほほんと組織の手先を撃退したり、しなかったり。

 ギャグでもなくバトルでもなく。リリエンタールの力が引き起こす日常の冒険ストーリーは大長編ドラえもんを読んでいるような感覚。見た目低年齢向けの漫画なのですが、もっと上の層がターゲットでもおかしくない辺りも藤子不二雄作品を思わせます。

 というか、実際この漫画は子供よりも大人受けする作品ではないかと思います。というのも、大人キャラクターの描かれ方が魅力的だから。作者自身が「理想の大人」をコンセプトにしたと書いている通りで、登場する大人達はそれぞれタイプこそ違えども、メインとなる子供達や若者を見守り、導くスタンスを貫いています。大人がちゃんと「大人の態度」を取ってるんですね。この辺、俺は「よつばと!」に通じる部分があると思っています。


紳士ということしか分からない

 大人代表、紳士ウィルバーさん。


 基本的にダメな人なんですが、それでもなお、この人はカッコイイ。具体的に書くのは避けますが、ウィルバーさんマジ紳士、とだけ言っておきましょうか。


ウィルバーさんマジ紳士

 可愛らしい見た目と、それに反して意外と対象年齢が高そうな内容。このアンバランスさ故にターゲット層が定まらず、打ち切りの憂き目に遭ってしまったのは想像に難くありませんが、打ち切り決定してからのストーリーの畳み方がまた見事。ページ数の関係で少々駆け足の感もありますが、クライマックスの盛り上がりはまさに少年漫画の王道。全てのキャラクターの持ち味を生かして、それぞれに最高の見せ場を与えたラストエピソードには100点満点をあげたい。

 全4巻。最終巻での描き下ろしで残っていた問題にも片がつき、見事な大団円。この先がもう無いのは残念でなりませんが、綺麗にまとまった完成度の高い4冊だと思います。

 この漫画、どこの本屋でも品切れが多いのになかなか増刷されないあたり、色々と不遇な扱いを受けているのですが、もっと多くの人が買って作者の次回作に繋がると俺が嬉しいのでお勧めしておきます。

 このままヘタにジャンプに染まることなく再登場してくれることを願いつつ。