ガムテープで文字を書こうガムテープで文字を書こう
著者:佐藤 修悦(さとう しゅうえつ)
販売元:世界文化社
発売日:2009-04-10
おすすめ度:3.0


 新宿駅の改修工事。現場の警備員・佐藤修悦氏によって生み出された書体が「修悦体」です。

 ただでさえ複雑な構造をしている新宿駅が、工事による迂回路のため迷路のように。道に迷った乗客から頻繁に道を聞かれた佐藤氏は警備員詰め所にあったガムテープで案内板を作ることを考えたのでした。

修悦体
新宿駅の案内板



 出来上がった案内板は読みやすく、分かりやすく、ちょっと力の抜けた感じで温かみのある書体。そのタイポグラフィとしての完成度の高さもさることながら、それを作り上げたのが現場の警備員であったという話題性も手伝って、ネット上で評判に。

 かくして佐藤氏のガムテープ文字は、世にも不思議なアート書体、「修悦体」としてその名を知られるようになりました。

 この本は、そんな修悦体にまつわるエピソード……はそこそこに、修悦体による立て看板のギャラリーとその作成方法を大量に収録した実用書です。

 こんな設計図が

運動会 設計図
設計図

 こんな素敵な立て看板に。

運動会 完成図
完成図

 ね、簡単でしょう? って、これだけ見ると思わず「ボブの絵画教室」になってしまう位レベル高いです。貼ったガムテープを部分的に剥がして文字にしていく過程は、仏師が素材から見出した仏様の姿を彫り出しているかのよう。

 設計図なんかメチャクチャにガムテープ貼ってあるようにしか見えませんが、順を追って丁寧に作成法が書かれていますので、時間さえかければ誰でも作れそうです。失敗してもガムテープだからすぐ直せるし。

 設計図を見ていると、この独特の書体がガムテープという素材ゆえに生まれたということが良く分かります。基本的に水平垂直の直線のみで文字が構成されていること、等間隔な水平の線を共有することにより統一感を生み出していること。まっすぐにしか貼れないガムテープの性質を逆手に取っているわけです。

 あと、佐藤氏自身が書かれる文字も当然ながら修悦体のベースとなっています。手書きのあとがき原稿で一目瞭然。

あとがき
かわいい

 俺は立て看板を作る機会なんて全くありませんが、こういうのは見ているだけでも楽しいですね。仕事でちょっと凝ったプレゼン資料を作るのに使ってみてもいいかも。

 俺には往々にしてそういう所にばかり時間をかける悪癖があります。


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