分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法
著者:イアン スチュアート
販売元:早川書房
発売日:2008-11
おすすめ度:4.0


 ちょっと前、はてなブックマークを意識的に使い出した頃にホットエントリとして話題になっていた数学の本です。何となく気になったので読んでみました。

 「数学スゲー!!」

 我ながら低レベルな感想だこと。


 一応俺は理系の人間なので数学は得意な方だと思うのですが、あんまり好きでもないです。それは「数学の美しさ」に酔えないから。

 俺自身そうなんですが、工学系の人間は近似解が得られりゃいーじゃん、という考えになりがちなのではないかと思います。あくまで数学は問題を解決するための「道具」に過ぎないので、必要な所だけ拾った後は突き詰める気にならないのです。難しいし。

 一方で俺は「道具」が好きです。文房具やキッチン雑貨など、シンプルで使い勝手のいい道具が身の回りにあると嬉しくなってしまいます。そればかりか、自分には全く縁が無いような得体の知れない工具なんか見るとワクワクしますね。

 ああ…釘打機超カッコイイ……。こんなにメカメカしくない工具だと墨壷なんかいいアイテムですよねー。シンプルな仕組みで直線一発!! それだけの道具が無駄に装飾にこだわってるあたりもたまらない。

 話が大工道具萌えの方へ逸れましたが、何が言いたいのかというと俺は実用性のある道具が好きだということです。そしてそれは有形のものに限った話ではないのだなあと、この本を読んで思った次第です。素晴らしい使い道を提示されることで数学という道具が輝きだす。

 卑近な例から高度な数学を引っ張り出してくる所が面白い。「身分を明かさずに身分を証明する方法」「電子回路のバグ取り」「誰からも文句が出ない恨みっこなしの土地分割」など、実際に役立ちそう(役立っている)な例はその最たるもの。それを考え出した人のひらめきを借りて大いに納得する。よく出来た道具に感心するときと一緒なんです。

 うーん。俺は「因数分解が何の役に立つんだよ」と得意げに言う中学生と大して変わらなかったらしい。もっかい書いておきましょう。

 数学スゲー。

 数学者は高度な研究をしていても基本的に「問題を解いてから使い道を考える」というスタンスなのがアホっぽくて好きです。とりあえず目の前にあるパズルを解かなければ気がすまないんでしょうね。そうした研究の中から素晴らしい道具が生まれてくることを期待しつつ、全ての数学者を応援したくなる本でした(「俺はやりたくないけど」という意味を含めつつ)。


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