って言っていた同級生のD君は今頃どうなっているだろうか。彼のプランでは今頃年収1000万を突破しているはずだけど。
職場で来年度の新卒配属がどうのという話を聞いて彼の事を思い出したので、特に大したオチのない体験談を長々と書きます。
強いて言うなら、長らく会っていない友人から突然連絡が有ったら気をつけようね、という話。
どう見てもおっさん
当時俺は就職したばかりで五反田に住んでおりました。試用期間で研修漬けの毎日。定時上がりで持て余した時間を自室でのてのてと過ごしているところへ、知らない番号からの着信が。
「もしもし、○○(俺)君? 俺分かる? Dだけど」
「うぉ、Dちゃん!? 久しぶりー!!」
D君は地元の友達。幼稚園から中学まで同じ学校。地区のソフトボールチームや中学の部活なんかも一緒。特別仲が良かったというわけでもないが、互いに遠慮せずに話ができる間柄。
「○○君、今五反田なんだって? 俺近くに来てるから飲もうよ」
「おー、行く行く」
ってんで、五反田駅で待ち合わせ。中学卒業以来、約10年ぶりに会うD君は整髪料でびっちり固めたオールバックにダブルのスーツ。
……お前本当に20代か?
横に長い体格のせいで余計に老けて見えた。
五反田東口のチェーン居酒屋にて
「○○君、XXに就職したんだって? 給料いいの?」
「(直球だな)諸々引いて手取りで18万位。この業種の院卒は皆こんなもんじゃない」
「もっと貰えるもんかと思ってた」
「まあまだ殆ど残業もないしね。Dちゃんは何してんの?」
「内緒」
「なんだそりゃ」
仕事はさておき、D君は「社会人サークル」に入っているらしい。定期的に勉強会を開いたり、週末にはフットサルやらバーベキューなんかもやったりするとか。
「そりゃ楽しそうでいいね」
「○○君も来れば? 勉強になるし友達も増えるよ!」
「そーねー」
行かないけどね。知らん人苦手だし。とは言わなかった。
「俺仕事でよくこの辺来るからさ、また飯でも食おうよ」
「あーいいね」
てな感じでその日は別れた。懐かしい友達と会って飲むというのも楽しいもんだ。
帰ってから携帯を見ると、実家の母から「D君に電話番号を教えました。連絡が行くと思います。」というメールが入っていた。「さっき会ってきた」と返信。
その週の土曜日
取り込みたてフカフカの洗濯物に埋もれて気分良く昼寝しているところにD君から着信。
「……はい」
「あ、○○君? こないだ話してたサークルの集まりがこれからあるんだけど来ない?」
わあめんどくさい。
「ごめん、今起きたとこなんでやめとくわ」
「そうかー、じゃあまた今度」
また誘われるのか。初対面の人と仲良くフットサル? バーベキュー? うん。考えるだけで気詰まりだな。次はきっちりお断りしよう。
翌週・水曜日
「今近くにいるんだけど飯でも食わん?」
「OK」
で、五反田の韓国料理屋。
「 やっぱり人生金を稼いでナンボだと思うんだよね俺は」
「何? 『金持ち父さん』でも読んだん?」
「あれは良い本だよ。○○君も読んだ方がいいよ」
「んー。じゃあそのうち読んでみるわ」
「例えばさ、『ベンツなんて必要ない、カローラで十分だ』って言う人でも金があればベンツ買うでしょ?」
「金が余って余ってしょうがなかったら買うかもね」
俺は車なんて足になれば良いという人間なので、あまりピンとこない。
D君は我が意を得たりとばかりに続ける。
「でしょ。だから人生楽しく生きるためにはとにかく金が稼げるようにならなきゃいけないんだよ。ベンツ乗りたいでしょ?」
「まぁ、金は大事だよね(ベンツはどうでもいいけど)。『金で幸せは買えない』なんて言うけど金がなくて不幸になるケースはいっぱいあるしね」
「そうそう!! そうなんだよ!!」
……なんかすごく嬉しそう。
「俺ね、5年以内に起業して年収1000万超えるから」
「おお、すげー自信だね。そこまで言うからにはいい事業のアイデアがあるんでしょ? 真似しないからちょっと教えてよ」
「それはこれから考える」
は?

何かを。
起業セミナー
「……ごめん、意味が良く分からなかった。何て?」
「俺、社会人サークルに入ってるって言ったでしょ? ある会社が主催しててね、仕事のためのスキルを教えてくれるんだよ。普通は30代後半から40代ぐらいの課長クラスの人が教わるようなビジネステクニックを20代の若い奴だけ集めて教えようってとこなんだ」
ふーん。それで?
「○○君も来てみない? 入会したらお金要るけど、話聞くだけならタダだし、会社でも役に立つから給料倍になったって奴がいっぱいいるよ。
たとえば俺の給料今いくらだと思う?」
俺は根性悪いのでこういうときは多めに答える。
「手取りで30万ぐらい?」
「う…うん、まあその位だね。その位すぐに稼げるようになるわけ」
目が泳いでるぞ。
人生の勝ちを確信したような顔で
曰く。
「うん?」
「超うさんくせぇ」
「いや、本当に勉強になるんだって!! 来れば分かるから!!」
「だってDちゃん、メチャクチャ足元浮ついてるじゃん。プランも無しに『5年後に年収1000万』とか言われても普通信じないよ?」
「今は起業するための基礎を作っているところなんだよ!! 皆本気で起業しようと考えてる仲間の集まりだから、あいつらと一緒にやれば絶対できるって!!」

こんなだった
あちゃあ。タチの悪い自己啓発セミナーにでも引っかかったんだろうか。就職したばかりで起業になんか興味がない、と此方がいくら固辞しても「それは意識が低い」「来れば分かる」の一点張り。
聞きゃあしないので譲歩した
「じゃあそのセミナーの案内か何か持ってきてよ。それだけちゃんとしたトコならパンフぐらい有るでしょ。それ見て参加する価値があると思ったら行くよ」
とりあえずその場での回答を避ける。
「うーん……分かった、パンフね。……本当は説明会に来ないと詳しいことは教えられないんだけど、○○君は特別ね」
恩着せがましいなオイ。
結局、土曜日に資料を持ってきてもらい説明を受けるということで話は纏まった。
「近いうちにK達も呼んで皆で飲もうよ」
Kは小学校5年生の時に転校してきた友達。それも良いね、大体暇してるからいつでも声かけてよ。と言って別れた。
俺はこの時の事が原因で、ロバート・キヨサキの本は手に取る気すら起こらない。
「社会人サークル」「悪徳商法」 −> 検索
一発で特定できた。「株式会社メディウス」だ。
「社会人サークル」「2010年までに関連会社100社」「ナタデココ」「金の話ばっかり」「カローラとベンツ」「髪型はオールバック」
あらゆる要素が合致する。完璧に騙されてるよD君!!
メディウスについて分かったこと。
何とかして目を覚まさせてやることはできないだろうか。とりあえず調べたページは片っ端からプリントアウトしておいた。
ライス大盛り
D君が説明の場所として指定してきたのは新宿のサイゼリヤ。「仕事が長引きそうなので遅れる」とのメールが来るが、俺は俺で道を間違えて代々木の辺りまで歩いて行ってしまった為、30分程度遅れてほぼ時間差なく合流。
俺はハンバーグのセットを注文、ライス大盛り。D君はチキンソテーか何かだったと思う。単品。
「あれ? ライスとか頼まんの?」
「いや、俺腹へってないから」
だったらコーヒーでも飲めばいいのに変な頼み方だ。「メディウスメンバーは借金だらけ」とネットに書かれていたのを思い出した。
47万円の教材を買う際に借金をさせられ、別料金の特別セミナーやパーティやらでぼったくられる。そうして続ける事が困難になった挙句にドロップアウト、メディウス用語で「飛ぶ」のだそうだ。
大盛りで頼んだライスが残ったので聞いてみた。
「余っちゃったんだけど食わない?」
「じゃあ遠慮なく」
腹減ってない割にはがつがつ食っている。やっぱり金ないんだろうか。
株式会社メディウス
「じゃあまず、セミナーを主催している会社について説明するね」
差し出されたのはD君の名前が書かれたメディウスの名刺。ああ、やっぱりメディウスか。……ていうかコイツ社員じゃねーか!
よく見ると、襟元に輝く金銀のバッジ。
ズブズブじゃねーか!!
予想を下回り過ぎてなんだか楽しくなってきた。知らんフリして話を聞き続けるが、結局五反田で聞いたのと大差ない具体性のない話を繰り返すのみ。遮って聞く。
「で、パンフは? 持ってくる約束だったよね?」
「……あぁ、会社に忘れてきた」
無いんだろ、そんなもん。自分たちのフィールドに連れ込んで強引に契約とるならそんなもの作る必要ないもんな。
D君はメディウスの素晴らしさを綿々と語り続ける。強力な人脈ができるだの、人を動かすテクニックが学べるだの。自分はメディウスと出会わなければパチプロになってその日暮らしをしていたかも知れない、とも。
他人に迷惑をかけない分、パチプロのほうがマシだったね。
話は続く
「 だからメンバーになれば人を説得する力が身に付くんだよ!! 自分じゃできないことでも出来る人を説得して味方につければいいんだよ。上に立つ人間はリーダーシップを発揮できればいいわけ」
……ああ、やっと分かった。こいつ馬鹿なんだ。自分は何にも出来ないくせに、口先だけで人を動かせると本気で信じてるんだ。
つまりメディウスってのはこういう他力本願の馬鹿を量産した上で、起業だ、勝ち組だと煽って金を搾り取る会社って訳だ。
「教材は高いけど、ウチの会社でローンの紹介もしてるから。学研知ってるでしょ、『学習と科学』の。その系列の会社だから安心でしょ」
知ってるよ、悪徳商法御用達の学研クレジットね。
「俺もここで金借りてるんだよ」
アパレル店員みたいに言うなよ。
(例:「自分もこのジャケット着てるんですよー」)
大体「バリバリ稼げる金持ち」っていう設定じゃないのかお前は。
ネットの情報によればメディウス社員は完全歩合制(違法)のため、教材が売れないと全く収入がなくなるらしい。大学や高校の知人は勧誘し尽くして、中学まで遡って連絡を取り始めたというのが実際のところか。
だとすればよっぽど切羽詰ってるって事だ。
反論してみた
「そのセミナーが良いものだってのは良く分かったよ。でもその説明だけで大金は払えないな。会社に来ないと具体的な内容は言えない、なんておかしいでしょ?」
「みんな高級ブランド品買うのに店まで行くじゃない。それと一緒だよ」
「そりゃ実物がそこにしかないから。セミナーなんて形のないモノ売るならパンフなり、教材なり持ってきて説明するのが普通でしょ」
「でもブランドショップは商品持って歩かないじゃん」
「ブランドは行商しねーよ!! あのね、ブランドには積み重ねてきた信用ってもんがあるの。君んとこには無い」
「でもそういう決まりだから」
「メディウスってビジネスの仕方を教えるとこなんでしょ? ビジネスの常識で考えてこういう売り方っておかしいと思わないの?」
「思わないね。モノが無くてもお互いの信頼のもとで納得して売り買いをするんだから全く問題ない。むしろ理想の形だよ」
「最初『社会人サークル』って言ってたよね? それは嘘だった訳だけど、嘘ついてでも売るのが理想の形なん?」
「それはセミナーが○○君のためになると思ったから。最初から会社名出したら勧誘だと思って引くでしょ?」

お約束
屁理屈だけは鍛えられるらしく、全く話がかみ合わない。変な新興宗教にはまった奴と話すとこんな感じなんじゃないだろうか。
切り札
「Dちゃん、家にネット環境ある?」
「無いけど」
「俺、こないだ話聞いて変だと思ったから色々調べたんだわ」
プリントアウトした束を出す。2chスレもあるからすごい量。
「これ全部メディウスの悪い評判ね。例えばこれとかこれ読んでみ。嘘ついて連れて行かれた先で長時間拘束されたとか、高い教材を買った挙句にやらされるのは勧誘活動って書いてあるけど?」
どうよ。ちょっとは目を覚ませ。
「この人達は被害者意識が入ってるね」
開き直りやがったー!!
「ここに書いてある事は事実だって認めるわけね? 狭いところに閉じ込めて買うまで帰さないとか、売り文句と実際が全然違うって、まるっきり悪徳商法じゃん!!」
「だからそれは商品を売るためのテクニックなんだってば」
やばい、開き直りじゃなくって本気で言っている。
「このやり方じゃマルチとかキャッチセールスと変わらないよね?」
「うちは違法じゃないし、どこでも普通にやってる事だよ。これがおかしいっていうのは○○君が世の中の事を分かってないからだよ」
うーん。馬鹿に馬鹿って言われるのは本当に腹立つなぁ。
「Dちゃんは世の中の事が分かってるんだ?」
「少なくとも○○君よりは分かってると思うよ。○○君は今手取り18万だっけ? その程度じゃ見えてこないこともあるんだよ」
「手取り18万」の残飯がっついてた奴に言われたかないよ。
ギブアップ
「なぁDちゃん、こんなこと繰り返してると友達無くすよ?」
「そう? 俺は増えると思うけどね」
今まさに一人減ったよ。それとも俺は始めっから友達にカウントされてなかったんだろうか。
「……○○君。俺はメディウスで帝王学を学んでるんだよ」
いかん、この人何かスゲー面白い事言いだしちゃった!!
「魅力ある人間には部下も友達も自然と付いてくる。成功する人間はみんなそういうもんなんだよ。俺もね」

もうだめだ
すいません、ギブアップでお願いします。
メディウスの帝王学
「OK、世の中見えてるDちゃん。そしたら俺は君が5年後に年収1000万円になってたら土下座してやるよ」
「いいよ、そんな事しなくて」
「いや、俺だって土下座なんてする気ないよ」
「だったらはじめから言わないでよ」
こいつ本当に馬鹿だな。「お前には無理だ」って言ったんだよ。
「じゃあ俺帰るね。今日君と話した内容はそのまま他の友達にも伝えとくから。素晴らしい商品を売ってるんだから問題ないよね? じゃ、二度と電話してこないでねー」
出来る限りで最高の笑顔を作って絶縁を宣言。伝票を取ってレジへ向かう……が、途中で意地の悪いことを思いついたので引き返す。
「自分の食事代払わないの?」
「それは○○君がさっさと伝票持ってっちゃったから……」
「じゃあ奢ってくれる? 稼いでんでしょ?」
「それはちょっと……」
「いいよ、俺が払っとく。大した帝王学だね。そんじゃ」
今度の嫌味はさすがに通じただろうか。相手に金がないと踏んだ上でこういうことを言う俺も大概性格が悪いが、ずっと人を見下したような態度を取り続けられてイライラしていたのだ。この位は言ってもいいだろう。
まだ終わらない
帰り道、気が付けば店についてから3時間近く経っている。
感じるのは怒りではなく情けなさ。こんな勧誘に乗ると思われていたこと、こんなくだらないことに無駄な時間を使ってしまったこと、なによりD君の目を覚ましてやれなかったこと……はどうでもいいな。せいぜい借金まみれになって苦労しやがれバーカバーカ。
君付けで書くのすら嫌になってきた。あんな奴DだD。
身内がこんなもんに引っかかったらそれこそ縛り付けてでも足を洗わせるが、10年間連絡も取っていなかった同級生にそこまでエネルギーを費やすほど俺は優しくない。かわいそうな奴だとは思うけどね。
でも、まだ終わらない。Dに宣言した通り、友達にこの事を話して被害の拡大を防がなくてはいけない。
実家の母に連絡して、卒業アルバムからめぼしい友人の電話番号を調べてもらう。夜も遅かったので、連絡するのは翌日にした。
とにかく疲れた。無駄に。
逆テレアポ
地元の友達に片っ端から電話をかけていく。Dが変な商売にはまっていること、会社名はメディウスであること、本人は素晴らしい商品だと信じているが評判はすこぶる悪いことを伝える。おそらく本人は善意で勧めてきているのだろうとも。
会うときはいきなり新宿のオフィスには行かないこと。話を聞いて良いものだと思っても即決はせず、自分で調べてから契約したほうがいい。
俺がDと縁を切ったことは言わずにそう伝える。何もここでいらん悪口を言って他の友達とまでギクシャクさせる必要もない。絶対契約するな、なんて言う筋合いもないしね。
あらかた連絡は終えたのだが、唯一連絡が取れないのが先日Dとの会話で名前が出てきたK。実家に電話するとK母が出たのだが、「Kはいません」「夜遅くて、いつ帰ってくるかも分かりません」とのこと。またかける、と伝えて切った。
翌日、また電話してみる。やっぱりいないとの事。電話番号を伝えて折り返し電話をもらえるように頼む。その日はかかってこなかった。
さらに翌日も電話。
「もしもし」
「あ、Kか?」
「いえ、弟です」
そういやKには同じ顔の弟が二人いた。声まで同じでやんの。弟にもこちらの電話番号を教えて伝言を頼む。今度はすぐにかかってきた。
「はい」
「もしもし、○○ちゃん? 久しぶりー!!」
あら、なんかデジャブ。
「うん、久しぶり。4〜5年ぶりぐらいかな? えーとね、いきなりで悪いんだけど、最近Dちゃんから連絡なかった?」
「ああ、あったよ」
うわ、先を越された。
「なんかセミナーの勧誘されなかった?」
「うん、契約した」

うわあああ。
「逃げて」
「マジで? 結構高かったよね? なんで契約したの?」
「一生懸命勧めてくるし、なんか明るくて楽しそうだったから」
あー。こいつ素直だからなぁ。疑いの目を持って見なければ活気と熱意にあふれてるように見えるかもしれないな。
「俺ちょっと調べたんだけどね。勧誘の仕方とかで結構悪い評判もあったんだよ。Kが良いと思ったんならやればいいと思うけどさ。親はなんて言ってんの?」
「親には話してないよ」
「はぁ!? 何で? 実家なのに」
「絶対言うなって言われたから」
アホかー!! 素直にも程がある。と、ここでピンときた。「良いもの」を薦めているつもりならば何故口止めをする必要がある?
「K、それ契約したのっていつ?」
「えっと、先週の土曜日だね。4時に新宿の会社に行ったよ」
「怒りで視界が真っ赤になる」なんて表現があるけども、あれは違うね。本当に怒ると露出オーバーの写真みたいに白っぽくなる。瞳孔が開くんだろうか。
「ふざけんなあの野郎!!」
電話口で叫んだのは初めて。
「俺が勧誘されたのもその日なんだよ!! あいつ直前にお前に会ってることなんか一言も言わなかったよ。『K達と集まって飲みたいね』なんて言っていたにもかかわらず!! どういう事か分かるよな? 一人づつ呼び出して確実に契約させる為だよ。二人で相談されたら困るからだよ!! 『懐かしいから会いたい』とか『君のためになると思うから勧めてる』なんてのは嘘っぱちで、はじめっから俺達の事を金ヅルとしか見てなかったって事だよ!!」
興奮して一気に捲し立てたのを覚えている。あの時30分遅れて来たのはKを「落とす」のに手こずってたからって訳か。馬鹿にしやがって。
「K、俺はそれすぐに解約したほうがいいと思う。クーリングオフってのがあるから一週間かそこらの間は返品できるから。まずは全部親に話しな。それで続けるかやめるか判断すればいいから」
Kもネット環境が無いというので、その場で消費者センターの相談ダイヤルを調べて伝えた。
この事で「Dは馬鹿なだけで、純粋な善意で勧誘している」と思っていた自分に気づいた。さんざん他人をハメた成果で金ピカのバッジをしていたのにもかかわらず。「(元)友達が自分を騙すつもりで近づいてきた」と考える事を無意識に避けていたんだな。俺もよっぽどおめでたい。
ああ畜生。こんな事なら別れ際に嫌味なんて言ってないで、ドラマみたいに水ぶっかけてやれば良かった。
後日談
無事解約できたKから感謝の電話がかかってきた。クーリングオフされたことを知ったDはなんとKの実家まで押しかけてきたそうだ。俺達の地元は見渡す限りの田園が広がるド田舎。わざわざご苦労なことだ。
全てを聞いていたK母が応じたらしい。K母は女手ひとつで息子3人を育ててきた人。メディウス仕込みのスカスカな成功哲学や「説得力」とやらはあっさり一蹴され、逆に説教されて逃げ帰っていったそうだ。
ちょっとは溜飲が下がった。さすがK母。会ったことないけど。
あ。
「ひょっとして俺の電話って、お母さんに悪徳商法だと思われてた?」
「大丈夫、今回の件で誤解はとけたから」

あいたー
そりゃいきなり面識のない「自称同級生」から電話かかってきたら警戒するよなあ。連絡がなかなか取れなかったのはそういう訳か。
「困ったときに助けてくれる友達は大切にしろってさ」
そりゃ救われますね。
後日談・その2
半年後。年末の帰省時に母から聞いた話。
農協の朝市か何か(そういう土地柄)でたまたまD母と会ったそうだ。そこで「Dは今埼玉で働いている」と聞いたとか。
メディウス末端社員の末路。教材を販売できない社員は関連会社に飛ばされて安月給でコキ使われる。もしくは借金抱えたまま「飛ぶ」。もちろんネットで調べた限りだけれど。
あるいは見事起業に成功して、埼玉にオフィスを構えた可能性も……ないよな、あれからたった半年で。何年も会っていなかった俺の所に来てる時点でもうギリギリだった筈なんだ。だとすれば「飛ばされた」のか、「飛んだ」のか。どちらにせよ碌な目に遭ってないだろう。
あれから5年以上経つ。Dの年収は1000万を超えただろうか。もしいつか、偶然にでも行き会うことがあったらこう言ってやろうと思っている。
『よう、大社長。』
以上、おしまい。想像以上に長くなりました。
その後しばらく2chのメディウススレッドをチェックしていましたが、そのうちメディウスという会社自体がなくなりました。
幹部は社名を変えて同じようなことを続けているみたい。似たような自己啓発セミナーの話を聞いたことがある人は「メディウス」「悪徳商法」とかで調べてみてください。すぐ見つかりますので。
画像出典・上から
THE3名様/石原まこちん
最近のヒロシ。/田丸浩史
DEATH NOTE/大場つぐみ,小畑健
みんなはどう?メガキューブ/G=ヒコロウ
不死身探偵オルロック完全版/G=ヒコロウ
行け!稲中卓球部/古谷実
職場で来年度の新卒配属がどうのという話を聞いて彼の事を思い出したので、特に大したオチのない体験談を長々と書きます。
強いて言うなら、長らく会っていない友人から突然連絡が有ったら気をつけようね、という話。
どう見てもおっさん
当時俺は就職したばかりで五反田に住んでおりました。試用期間で研修漬けの毎日。定時上がりで持て余した時間を自室でのてのてと過ごしているところへ、知らない番号からの着信が。
「もしもし、○○(俺)君? 俺分かる? Dだけど」
「うぉ、Dちゃん!? 久しぶりー!!」
D君は地元の友達。幼稚園から中学まで同じ学校。地区のソフトボールチームや中学の部活なんかも一緒。特別仲が良かったというわけでもないが、互いに遠慮せずに話ができる間柄。
「○○君、今五反田なんだって? 俺近くに来てるから飲もうよ」
「おー、行く行く」
ってんで、五反田駅で待ち合わせ。中学卒業以来、約10年ぶりに会うD君は整髪料でびっちり固めたオールバックにダブルのスーツ。
……お前本当に20代か?
横に長い体格のせいで余計に老けて見えた。
五反田東口のチェーン居酒屋にて
「○○君、XXに就職したんだって? 給料いいの?」
「(直球だな)諸々引いて手取りで18万位。この業種の院卒は皆こんなもんじゃない」
「もっと貰えるもんかと思ってた」
「まあまだ殆ど残業もないしね。Dちゃんは何してんの?」
「内緒」
「なんだそりゃ」
仕事はさておき、D君は「社会人サークル」に入っているらしい。定期的に勉強会を開いたり、週末にはフットサルやらバーベキューなんかもやったりするとか。
「そりゃ楽しそうでいいね」
「○○君も来れば? 勉強になるし友達も増えるよ!」
「そーねー」
「俺仕事でよくこの辺来るからさ、また飯でも食おうよ」
「あーいいね」
てな感じでその日は別れた。懐かしい友達と会って飲むというのも楽しいもんだ。
帰ってから携帯を見ると、実家の母から「D君に電話番号を教えました。連絡が行くと思います。」というメールが入っていた。「さっき会ってきた」と返信。
その週の土曜日
取り込みたてフカフカの洗濯物に埋もれて気分良く昼寝しているところにD君から着信。
「……はい」
「あ、○○君? こないだ話してたサークルの集まりがこれからあるんだけど来ない?」
わあめんどくさい。
「ごめん、今起きたとこなんでやめとくわ」
「そうかー、じゃあまた今度」
また誘われるのか。初対面の人と仲良くフットサル? バーベキュー? うん。考えるだけで気詰まりだな。次はきっちりお断りしよう。
翌週・水曜日
「今近くにいるんだけど飯でも食わん?」
「OK」
で、五反田の韓国料理屋。
「
「何? 『金持ち父さん』でも読んだん?」
「あれは良い本だよ。○○君も読んだ方がいいよ」
「んー。じゃあそのうち読んでみるわ」
「例えばさ、『ベンツなんて必要ない、カローラで十分だ』って言う人でも金があればベンツ買うでしょ?」
「金が余って余ってしょうがなかったら買うかもね」
俺は車なんて足になれば良いという人間なので、あまりピンとこない。
D君は我が意を得たりとばかりに続ける。
「でしょ。だから人生楽しく生きるためにはとにかく金が稼げるようにならなきゃいけないんだよ。ベンツ乗りたいでしょ?」
「まぁ、金は大事だよね(ベンツはどうでもいいけど)。『金で幸せは買えない』なんて言うけど金がなくて不幸になるケースはいっぱいあるしね」
「そうそう!! そうなんだよ!!」
……なんかすごく嬉しそう。
「俺ね、5年以内に起業して年収1000万超えるから」
「おお、すげー自信だね。そこまで言うからにはいい事業のアイデアがあるんでしょ? 真似しないからちょっと教えてよ」
「それはこれから考える」
は?

何かを。
起業セミナー
「……ごめん、意味が良く分からなかった。何て?」
「俺、社会人サークルに入ってるって言ったでしょ? ある会社が主催しててね、仕事のためのスキルを教えてくれるんだよ。普通は30代後半から40代ぐらいの課長クラスの人が教わるようなビジネステクニックを20代の若い奴だけ集めて教えようってとこなんだ」
ふーん。それで?
「○○君も来てみない? 入会したらお金要るけど、話聞くだけならタダだし、会社でも役に立つから給料倍になったって奴がいっぱいいるよ。
たとえば俺の給料今いくらだと思う?」
俺は根性悪いのでこういうときは多めに答える。
「手取りで30万ぐらい?」
「う…うん、まあその位だね。その位すぐに稼げるようになるわけ」
目が泳いでるぞ。
人生の勝ちを確信したような顔で
曰く。
- 若い起業家を生み出すためのセミナーだ
- 2010年までに受講生の手で関連会社を100社起業させる
- 既に関連会社はいくつもあって、主催者は3つの会社を経営している。そのセミナーも事業のひとつ
- 関連会社の経営者は皆セミナーの同窓生だから協力しあえる
- 「ナタデココを初めて日本に持ち込んだ男」など「すごい人」のためになる話が聞ける
- 「やる気」のある仲間と出会える。自分は新宿を歩くと大体知り合いに会うようになった。顔パスの店も多い
- 合コンにも使えるからモテる
- 俺は仕事もプライベートも超充実している
「うん?」
「超うさんくせぇ」
「いや、本当に勉強になるんだって!! 来れば分かるから!!」
「だってDちゃん、メチャクチャ足元浮ついてるじゃん。プランも無しに『5年後に年収1000万』とか言われても普通信じないよ?」
「今は起業するための基礎を作っているところなんだよ!! 皆本気で起業しようと考えてる仲間の集まりだから、あいつらと一緒にやれば絶対できるって!!」

こんなだった
あちゃあ。タチの悪い自己啓発セミナーにでも引っかかったんだろうか。就職したばかりで起業になんか興味がない、と此方がいくら固辞しても「それは意識が低い」「来れば分かる」の一点張り。
聞きゃあしないので譲歩した
「じゃあそのセミナーの案内か何か持ってきてよ。それだけちゃんとしたトコならパンフぐらい有るでしょ。それ見て参加する価値があると思ったら行くよ」
とりあえずその場での回答を避ける。
「うーん……分かった、パンフね。……本当は説明会に来ないと詳しいことは教えられないんだけど、○○君は特別ね」
恩着せがましいなオイ。
結局、土曜日に資料を持ってきてもらい説明を受けるということで話は纏まった。
「近いうちにK達も呼んで皆で飲もうよ」
Kは小学校5年生の時に転校してきた友達。それも良いね、大体暇してるからいつでも声かけてよ。と言って別れた。
俺はこの時の事が原因で、ロバート・キヨサキの本は手に取る気すら起こらない。
「社会人サークル」「悪徳商法」 −> 検索
一発で特定できた。「株式会社メディウス」だ。
「社会人サークル」「2010年までに関連会社100社」「ナタデココ」「金の話ばっかり」「カローラとベンツ」「髪型はオールバック」
あらゆる要素が合致する。完璧に騙されてるよD君!!
メディウスについて分かったこと。
- 20代の男だけをターゲットに、FDPと呼ばれる教材セットとセミナーへの参加権を高額で販売する会社である。もちろん相場からはかけ離れている。
- 販売の手口はマルチやキャッチセールスとほぼ一緒。狭いパーティションの中で説明を続け、相手が購入を了承するまで何時間でも粘り続ける。
- オフィスは新宿。契約者は毎日のように呼びつけられ、「ビジネステクニックの実践」と称して知人を勧誘することを強要される。
- 勧誘の実態はこんな感じらしい。
何とかして目を覚まさせてやることはできないだろうか。とりあえず調べたページは片っ端からプリントアウトしておいた。
ライス大盛り
D君が説明の場所として指定してきたのは新宿のサイゼリヤ。「仕事が長引きそうなので遅れる」とのメールが来るが、俺は俺で道を間違えて代々木の辺りまで歩いて行ってしまった為、30分程度遅れてほぼ時間差なく合流。
俺はハンバーグのセットを注文、ライス大盛り。D君はチキンソテーか何かだったと思う。単品。
「あれ? ライスとか頼まんの?」
「いや、俺腹へってないから」
だったらコーヒーでも飲めばいいのに変な頼み方だ。「メディウスメンバーは借金だらけ」とネットに書かれていたのを思い出した。
47万円の教材を買う際に借金をさせられ、別料金の特別セミナーやパーティやらでぼったくられる。そうして続ける事が困難になった挙句にドロップアウト、メディウス用語で「飛ぶ」のだそうだ。
大盛りで頼んだライスが残ったので聞いてみた。
「余っちゃったんだけど食わない?」
「じゃあ遠慮なく」
腹減ってない割にはがつがつ食っている。やっぱり金ないんだろうか。
株式会社メディウス
「じゃあまず、セミナーを主催している会社について説明するね」
差し出されたのはD君の名前が書かれたメディウスの名刺。ああ、やっぱりメディウスか。……ていうかコイツ社員じゃねーか!
よく見ると、襟元に輝く金銀のバッジ。
15 名前: 山下50万 投稿日: 2001/06/24(日) 23:25
ちなみに社員のバッチは・・・
四角いバッチです。マークはメディウスの公式ページを見てみて。それがマークで色は緑、銅、銀、金と銀、金の5つのバッチがあり、緑バッチをしている人間は社員という名のただ働きで給料はもらっていない。金のやつはかなりえらい社員で騙すテクは超一流。ちかくにいたら近寄っちゃだめよぉ
http://yasai.2ch.net/venture/kako/993/993389184.html
ズブズブじゃねーか!!
予想を下回り過ぎてなんだか楽しくなってきた。知らんフリして話を聞き続けるが、結局五反田で聞いたのと大差ない具体性のない話を繰り返すのみ。遮って聞く。
「で、パンフは? 持ってくる約束だったよね?」
「……あぁ、会社に忘れてきた」
無いんだろ、そんなもん。自分たちのフィールドに連れ込んで強引に契約とるならそんなもの作る必要ないもんな。
D君はメディウスの素晴らしさを綿々と語り続ける。強力な人脈ができるだの、人を動かすテクニックが学べるだの。自分はメディウスと出会わなければパチプロになってその日暮らしをしていたかも知れない、とも。
他人に迷惑をかけない分、パチプロのほうがマシだったね。
話は続く
「
……ああ、やっと分かった。こいつ馬鹿なんだ。自分は何にも出来ないくせに、口先だけで人を動かせると本気で信じてるんだ。
つまりメディウスってのはこういう他力本願の馬鹿を量産した上で、起業だ、勝ち組だと煽って金を搾り取る会社って訳だ。
「教材は高いけど、ウチの会社でローンの紹介もしてるから。学研知ってるでしょ、『学習と科学』の。その系列の会社だから安心でしょ」
知ってるよ、悪徳商法御用達の学研クレジットね。
「俺もここで金借りてるんだよ」
アパレル店員みたいに言うなよ。
(例:「自分もこのジャケット着てるんですよー」)
大体「バリバリ稼げる金持ち」っていう設定じゃないのかお前は。
ネットの情報によればメディウス社員は完全歩合制(違法)のため、教材が売れないと全く収入がなくなるらしい。大学や高校の知人は勧誘し尽くして、中学まで遡って連絡を取り始めたというのが実際のところか。
だとすればよっぽど切羽詰ってるって事だ。
反論してみた
「そのセミナーが良いものだってのは良く分かったよ。でもその説明だけで大金は払えないな。会社に来ないと具体的な内容は言えない、なんておかしいでしょ?」
「みんな高級ブランド品買うのに店まで行くじゃない。それと一緒だよ」
「そりゃ実物がそこにしかないから。セミナーなんて形のないモノ売るならパンフなり、教材なり持ってきて説明するのが普通でしょ」
「でもブランドショップは商品持って歩かないじゃん」
「ブランドは行商しねーよ!! あのね、ブランドには積み重ねてきた信用ってもんがあるの。君んとこには無い」
「でもそういう決まりだから」
「メディウスってビジネスの仕方を教えるとこなんでしょ? ビジネスの常識で考えてこういう売り方っておかしいと思わないの?」
「思わないね。モノが無くてもお互いの信頼のもとで納得して売り買いをするんだから全く問題ない。むしろ理想の形だよ」
「最初『社会人サークル』って言ってたよね? それは嘘だった訳だけど、嘘ついてでも売るのが理想の形なん?」
「それはセミナーが○○君のためになると思ったから。最初から会社名出したら勧誘だと思って引くでしょ?」

お約束
屁理屈だけは鍛えられるらしく、全く話がかみ合わない。変な新興宗教にはまった奴と話すとこんな感じなんじゃないだろうか。
切り札
「Dちゃん、家にネット環境ある?」
「無いけど」
「俺、こないだ話聞いて変だと思ったから色々調べたんだわ」
プリントアウトした束を出す。2chスレもあるからすごい量。
「これ全部メディウスの悪い評判ね。例えばこれとかこれ読んでみ。嘘ついて連れて行かれた先で長時間拘束されたとか、高い教材を買った挙句にやらされるのは勧誘活動って書いてあるけど?」
どうよ。ちょっとは目を覚ませ。
「この人達は被害者意識が入ってるね」
開き直りやがったー!!
「ここに書いてある事は事実だって認めるわけね? 狭いところに閉じ込めて買うまで帰さないとか、売り文句と実際が全然違うって、まるっきり悪徳商法じゃん!!」
「だからそれは商品を売るためのテクニックなんだってば」
やばい、開き直りじゃなくって本気で言っている。
「このやり方じゃマルチとかキャッチセールスと変わらないよね?」
「うちは違法じゃないし、どこでも普通にやってる事だよ。これがおかしいっていうのは○○君が世の中の事を分かってないからだよ」
うーん。馬鹿に馬鹿って言われるのは本当に腹立つなぁ。
「Dちゃんは世の中の事が分かってるんだ?」
「少なくとも○○君よりは分かってると思うよ。○○君は今手取り18万だっけ? その程度じゃ見えてこないこともあるんだよ」
「手取り18万」の残飯がっついてた奴に言われたかないよ。
ギブアップ
「なぁDちゃん、こんなこと繰り返してると友達無くすよ?」
「そう? 俺は増えると思うけどね」
今まさに一人減ったよ。それとも俺は始めっから友達にカウントされてなかったんだろうか。
「……○○君。俺はメディウスで帝王学を学んでるんだよ」
いかん、この人何かスゲー面白い事言いだしちゃった!!
「魅力ある人間には部下も友達も自然と付いてくる。成功する人間はみんなそういうもんなんだよ。俺もね」

もうだめだ
すいません、ギブアップでお願いします。
メディウスの帝王学
「OK、世の中見えてるDちゃん。そしたら俺は君が5年後に年収1000万円になってたら土下座してやるよ」
「いいよ、そんな事しなくて」
「いや、俺だって土下座なんてする気ないよ」
「だったらはじめから言わないでよ」
こいつ本当に馬鹿だな。「お前には無理だ」って言ったんだよ。
「じゃあ俺帰るね。今日君と話した内容はそのまま他の友達にも伝えとくから。素晴らしい商品を売ってるんだから問題ないよね? じゃ、二度と電話してこないでねー」
出来る限りで最高の笑顔を作って絶縁を宣言。伝票を取ってレジへ向かう……が、途中で意地の悪いことを思いついたので引き返す。
「自分の食事代払わないの?」
「それは○○君がさっさと伝票持ってっちゃったから……」
「じゃあ奢ってくれる? 稼いでんでしょ?」
「それはちょっと……」
「いいよ、俺が払っとく。大した帝王学だね。そんじゃ」
今度の嫌味はさすがに通じただろうか。相手に金がないと踏んだ上でこういうことを言う俺も大概性格が悪いが、ずっと人を見下したような態度を取り続けられてイライラしていたのだ。この位は言ってもいいだろう。
まだ終わらない
帰り道、気が付けば店についてから3時間近く経っている。
感じるのは怒りではなく情けなさ。こんな勧誘に乗ると思われていたこと、こんなくだらないことに無駄な時間を使ってしまったこと、なによりD君の目を覚ましてやれなかったこと……はどうでもいいな。せいぜい借金まみれになって苦労しやがれバーカバーカ。
君付けで書くのすら嫌になってきた。あんな奴DだD。
身内がこんなもんに引っかかったらそれこそ縛り付けてでも足を洗わせるが、10年間連絡も取っていなかった同級生にそこまでエネルギーを費やすほど俺は優しくない。かわいそうな奴だとは思うけどね。
でも、まだ終わらない。Dに宣言した通り、友達にこの事を話して被害の拡大を防がなくてはいけない。
実家の母に連絡して、卒業アルバムからめぼしい友人の電話番号を調べてもらう。夜も遅かったので、連絡するのは翌日にした。
とにかく疲れた。無駄に。
逆テレアポ
地元の友達に片っ端から電話をかけていく。Dが変な商売にはまっていること、会社名はメディウスであること、本人は素晴らしい商品だと信じているが評判はすこぶる悪いことを伝える。おそらく本人は善意で勧めてきているのだろうとも。
会うときはいきなり新宿のオフィスには行かないこと。話を聞いて良いものだと思っても即決はせず、自分で調べてから契約したほうがいい。
俺がDと縁を切ったことは言わずにそう伝える。何もここでいらん悪口を言って他の友達とまでギクシャクさせる必要もない。絶対契約するな、なんて言う筋合いもないしね。
あらかた連絡は終えたのだが、唯一連絡が取れないのが先日Dとの会話で名前が出てきたK。実家に電話するとK母が出たのだが、「Kはいません」「夜遅くて、いつ帰ってくるかも分かりません」とのこと。またかける、と伝えて切った。
翌日、また電話してみる。やっぱりいないとの事。電話番号を伝えて折り返し電話をもらえるように頼む。その日はかかってこなかった。
さらに翌日も電話。
「もしもし」
「あ、Kか?」
「いえ、弟です」
そういやKには同じ顔の弟が二人いた。声まで同じでやんの。弟にもこちらの電話番号を教えて伝言を頼む。今度はすぐにかかってきた。
「はい」
「もしもし、○○ちゃん? 久しぶりー!!」
あら、なんかデジャブ。
「うん、久しぶり。4〜5年ぶりぐらいかな? えーとね、いきなりで悪いんだけど、最近Dちゃんから連絡なかった?」
「ああ、あったよ」
うわ、先を越された。
「なんかセミナーの勧誘されなかった?」
「うん、契約した」

うわあああ。
「逃げて」
「マジで? 結構高かったよね? なんで契約したの?」
「一生懸命勧めてくるし、なんか明るくて楽しそうだったから」
あー。こいつ素直だからなぁ。疑いの目を持って見なければ活気と熱意にあふれてるように見えるかもしれないな。
「俺ちょっと調べたんだけどね。勧誘の仕方とかで結構悪い評判もあったんだよ。Kが良いと思ったんならやればいいと思うけどさ。親はなんて言ってんの?」
「親には話してないよ」
「はぁ!? 何で? 実家なのに」
「絶対言うなって言われたから」
アホかー!! 素直にも程がある。と、ここでピンときた。「良いもの」を薦めているつもりならば何故口止めをする必要がある?
「K、それ契約したのっていつ?」
「えっと、先週の土曜日だね。4時に新宿の会社に行ったよ」
「怒りで視界が真っ赤になる」なんて表現があるけども、あれは違うね。本当に怒ると露出オーバーの写真みたいに白っぽくなる。瞳孔が開くんだろうか。
「ふざけんなあの野郎!!」
電話口で叫んだのは初めて。
「俺が勧誘されたのもその日なんだよ!! あいつ直前にお前に会ってることなんか一言も言わなかったよ。『K達と集まって飲みたいね』なんて言っていたにもかかわらず!! どういう事か分かるよな? 一人づつ呼び出して確実に契約させる為だよ。二人で相談されたら困るからだよ!! 『懐かしいから会いたい』とか『君のためになると思うから勧めてる』なんてのは嘘っぱちで、はじめっから俺達の事を金ヅルとしか見てなかったって事だよ!!」
興奮して一気に捲し立てたのを覚えている。あの時30分遅れて来たのはKを「落とす」のに手こずってたからって訳か。馬鹿にしやがって。
「K、俺はそれすぐに解約したほうがいいと思う。クーリングオフってのがあるから一週間かそこらの間は返品できるから。まずは全部親に話しな。それで続けるかやめるか判断すればいいから」
Kもネット環境が無いというので、その場で消費者センターの相談ダイヤルを調べて伝えた。
この事で「Dは馬鹿なだけで、純粋な善意で勧誘している」と思っていた自分に気づいた。さんざん他人をハメた成果で金ピカのバッジをしていたのにもかかわらず。「(元)友達が自分を騙すつもりで近づいてきた」と考える事を無意識に避けていたんだな。俺もよっぽどおめでたい。
ああ畜生。こんな事なら別れ際に嫌味なんて言ってないで、ドラマみたいに水ぶっかけてやれば良かった。
後日談
無事解約できたKから感謝の電話がかかってきた。クーリングオフされたことを知ったDはなんとKの実家まで押しかけてきたそうだ。俺達の地元は見渡す限りの田園が広がるド田舎。わざわざご苦労なことだ。
全てを聞いていたK母が応じたらしい。K母は女手ひとつで息子3人を育ててきた人。メディウス仕込みのスカスカな成功哲学や「説得力」とやらはあっさり一蹴され、逆に説教されて逃げ帰っていったそうだ。
ちょっとは溜飲が下がった。さすがK母。会ったことないけど。
あ。
「ひょっとして俺の電話って、お母さんに悪徳商法だと思われてた?」
「大丈夫、今回の件で誤解はとけたから」

あいたー
そりゃいきなり面識のない「自称同級生」から電話かかってきたら警戒するよなあ。連絡がなかなか取れなかったのはそういう訳か。
「困ったときに助けてくれる友達は大切にしろってさ」
そりゃ救われますね。
後日談・その2
半年後。年末の帰省時に母から聞いた話。
農協の朝市か何か(そういう土地柄)でたまたまD母と会ったそうだ。そこで「Dは今埼玉で働いている」と聞いたとか。
メディウス末端社員の末路。教材を販売できない社員は関連会社に飛ばされて安月給でコキ使われる。もしくは借金抱えたまま「飛ぶ」。もちろんネットで調べた限りだけれど。
あるいは見事起業に成功して、埼玉にオフィスを構えた可能性も……ないよな、あれからたった半年で。何年も会っていなかった俺の所に来てる時点でもうギリギリだった筈なんだ。だとすれば「飛ばされた」のか、「飛んだ」のか。どちらにせよ碌な目に遭ってないだろう。
あれから5年以上経つ。Dの年収は1000万を超えただろうか。もしいつか、偶然にでも行き会うことがあったらこう言ってやろうと思っている。
『よう、大社長。』
以上、おしまい。想像以上に長くなりました。
その後しばらく2chのメディウススレッドをチェックしていましたが、そのうちメディウスという会社自体がなくなりました。
幹部は社名を変えて同じようなことを続けているみたい。似たような自己啓発セミナーの話を聞いたことがある人は「メディウス」「悪徳商法」とかで調べてみてください。すぐ見つかりますので。
画像出典・上から
THE3名様/石原まこちん
最近のヒロシ。/田丸浩史
DEATH NOTE/大場つぐみ,小畑健
みんなはどう?メガキューブ/G=ヒコロウ
不死身探偵オルロック完全版/G=ヒコロウ
行け!稲中卓球部/古谷実
コメント
コメント一覧 (101)
洗脳って簡単にできるんだなーと思いましたよ。
一回話聞いてみるのもネタとして面白いかも知れません。
先輩なんかベンツ乗ってんだよ、お金持ちになりたいでしょ???とか言われ。
私はそういうのには反応しないから、いや別に、って感じだったのですが、ほんとに宗教の洗脳ですね。
車は毎月経費で落ちないしw
スーツ着てるんだけど靴下が白かったりw
お金余って経費の消費先探している割に、人を集めて「割り勘で」とかw
そもそも社員も経営者も中卒、高卒さらに友達居なかったーみたいな人が多いですね。
むかーし知っている人がいたので良く知ってます。
噂で聞きましたが、最近は洗脳して派遣社員で使うって方式で、うまーく人騙してるみたいですよ
自分は上京してすぐに同じ学校の奴から会おうって電話かかってきたけど、面倒で断ったら後からマルチ勧誘だと知りました。多分、当時なら押し切られて契約したんだろうなーと。
まぁ、それ以前に母親がアムウェイだの変な宗教だのにはまってるので、他人をどうこう言えないんですけどね。
以前何かで聞いた事があるのですが、こういうのに騙された人はどれだけハッキリとした証拠を提示してもそれを信じないそうです。人間、自らに都合の悪い事は信じようとしないとか……D氏は手遅れでしたが、K氏はそうならずに済んだようで良かったです。
流石です。
それにしても面白く読ませていただきましたww
素晴らしい体験談、有難うございます。この類の勧誘に引っ掛からないための実例として広く読まれることを願います。
エセマネジメント学にどっぷり浸かると、目が醒めてからの矯正も大変です。地道に積み重ねるからこその成功への道が拓けるのに、虚言や大口を叩くことに慣れた身には「地道」がとても難しい。貴重な20代を搾取されない為にはかかわらない、それだけです。
この部分をガッツリ教えていただきたいです。
K母の対応方法が知りたいです。
友人からこの会社の運営する社会人サークルに誘われましたが、話を聞く限り社名が違えどやってることは同じでした。
私の時は「40万でインターネットつなぎ放題の端末買わない?」とかって中学の同級生から・・・。
「コーラが一本10円で飲める・・・」
の辺りで電話を切りましたが、もう少し付き合ってやれば良かったのかもしれませんね。
>14
Kからの伝え聞きですが、将来結婚して嫁さんや子供を養うのはそれでは無理だ、的なことを話したらしいです。ビジネス論の外側から攻めたのが良かったんじゃないでしょうか。
>20
すみません、配慮が足りませんでした。
該当の一文は削除いたしました。
ネズミ講。大学の友達に誘われました。健康ドリンクの販売。初回に2万円分くらいの健康ドリンクを購入。定期的に購入しなければいけない。説得後、そいつは友達が減るのを恐れ脱退。
宗教。高校の友達に誘われました。あなたの生活を変える方法を知っていますよ。と。
マネー投資。勧誘されたことはないが、最近、被害者が後を絶たないので、注意されたい。こんな世の中、楽して稼げる方法などない。腹くくって、地道に働くしかないよ。
個人用のゆうせん回線の悪徳商法。
TUTAYAで店を出たとたんに、くじ引きを引かされた。そして、2等があたった。おめでとうございます。ゆうせんのチューナーです(2、3万?)。いま、ゆうせん回線に契約すれば、このチューナーをただで差し上げます。
あたかも、くじで当たったと錯覚させ、契約を促す。あのころは若かったから、何もしなかったが、今考えれば、店にクレーム入れるか、警察に通報するべきだったな。被害者がいなかったことだけを願う。
そう言う自分も10うん年前の20歳の時、同じ新宿で、会員権商法やってたので、だます側でしたが…(^o^;)
騙す行為に嫌気して、6ヶ月位で、足洗いましたが…(^o^;)
最近では円天商法摘発されましたが…今でもマルチやキャッチ商法が無くならないのは、人間が人間である限り無理ですね(^o^;)
欲望、見栄…人間の醜い部分がある限りは…(^o^;)
ブロガーさんはロバート・キヨサキを敬遠されてるようですが、ロバート・キヨサキ…あれはあれで、ビジネス理論として優れてますよ(^-^)
ビンボー父さんとか、ロバート・キヨサキの高価なセミナーDVD買わなくとも、Yahoo!ファイナンスに連載記事ありますから、機会あれば、読んでみて下さいね?(^-^)
なかなかオモロいですよ(^-^)
私の友人も「プレスティージ」という会社に釣られまして
足を洗わせるのに一苦労した覚えがあります。
最終的に中ボスみたいなのが二人で私を囲み
「○○さんは今、夢に向かって走り出した所なんですよ!?」
「あなたは○○さんの人生そのものを壊している事に気付かないんですか!?」
と罵られたりして…とにかく散々な目にあいましたorz
○○にその話をすると、未だバツが悪そうな顔をしますw
新しいマルチにひっかかればまたズブズブに浸かることでしょう。
だから管理人さん、その友人に会っても『よう、大社長』なんて言わないで無視か逃げるかしたほうがいいです。間違っても更生させようなんて思わないように。友達だとも思わないほうがのちのち良いです…
親父が自分と母のところに何度もマルチの話持って来るんで、書き込みさせてもらいました。
マルチ商法の手口、何年経っても変わらないのですね。
私も、20年近く前に、中学時代の友達に同じ手口で勧誘されました。その時は、都合が合わなかったので、運よく乗りませんでしたが、後日、別の友達から、『気をつけて!』コールを貰いました。やはり、『フェラーリに乗れる』『楽して、金が入ってくる』などと言って、勧誘していたそうです。
その人も次々と新しいマルチにはまっていき、その度にまわりの友達に電話したそうです。
そういう人は、同じことの繰り返しですね。
管理人さんも次にその人にあっても、無視したほうがいいですよ。
貴重な体験を載せてくれてありがとうございました。これを是非、若い人に見てもらって、騙されないようにしてもらいたいです。
ITバブルのころ、懸賞応募するときの住所、氏名などをいちいち入力するのは面倒だから、それを自動化するという「ビジネスモデル」でベンチャー作って役員になると豪語した若者。ホリエモンの会社に検察が捜査に入った時、早く逃げろといったのに「あなたはあの株主総会の熱狂を知らないから、そんな失礼なことがいえるのよ」と罵った女。「ネットワークがわからない人は馬鹿よ。」と自らは借金こさえてどっかにいった女。
私はこうして小銭を稼ぎ、破産もせずに家族と無事に暮らせてます。でも、その野心がまぶしくて仕方ないのも確かなことです。いちがいには笑えないのです。
「面白い人がいるから紹介したい」の一言で、久々会う同期だしついて行った。
途中でマルチと気づいたが、同期で入社間もない事もあって無下に断る事も行かず、パーティション部屋まで連れて行かれた経験があります。
いきなり訳分からないとこ連れてかれて、どういうところかも分からんのに、同期のいう「先輩」が登場し、挨拶されたから「どうも」って座りながら挨拶したら「ビジネスマナーがなってない!」と一蹴されてムカついたのがいい思い出。
その後3時間ぐらい拘束されて、落とすのは難しいと感じたのか「お偉いさん」なる人を呼んできて、こんな機会ないからビジネスでどうやれば成功するのか質問してみなとか言われたり。
社会人になって1〜3年目あたりに多い話ですね。勧誘していった同期はしばらくしてやめていって7年ぐらい経ったけど、今頃会社でも起こせてるんかね。
以前いた、会社の社長がN○P・倫○法人会というセミナーにはまっていて(というか、会社の研修にしてた)、彼の言う話がD氏とそっくりです。社員は、彼を冷静に見ているんですが、本人は気がつかない。
こういった、被害者が減ると良いですね。周囲が迷惑です
そういえば昨年同じ職場にいたナースにもD君と同じような子がいました。私は最初からうさんくさいと思ったので相手にしなかったのですが、一緒に話を聞きに行った子もいました(何も契約はしなかったそうですが…) それは確かアパレル関係だと言っていましたが、みんなが同じアクセサリーをしていたりして怖かったそうです。
そのすでに洗脳されてしまったナースは「このまま終わりたくない!!」と、普段おとなしい彼女にしてはめずらしく、はっきりと宣言していました。そういう人生をやりなおしたいけど方法が見つからない人たちがいっぱいやり場のない思いを抱えているのでしょうね。そう思うと今はしみじみしてしまいます。
朝から大爆笑っす!
過去に居ましたね、1人。
高校の友人(女)で、そういうのにガッツリ嵌まってる奴が。
いきなり連絡してきたから怪しいとは思いつつも、懐かしさから合うことにしたんだよ。
で、結果は……同じ内容。
一応、奴の顔をたてて3時間くらいは付き合ってやったが、疲れたんで「そんなんマルチに俺が騙されるわけねーだろ?」と言って堂々と部屋を出た(笑)
幸い私自身がその友人に説得されることはなかったのですが、何人かは入会したような・・・・
こういうので気をつけないといけないのは、すすめてる本人が心の底から信じて勧誘してくる場合ですよね。
知人の20代の社長さんは、確かに自身で起業し、そこそこ生活できる程度のビジネスを展開しているのですが、自身のブログの内容が勧誘めいていて閉口してしまいます。
悪気はないんでしょうが、他人にすすめる「責任」を認識していただきたいものです。
やっぱりいろんなところで叩かれてるな。
まぁ本人が納得してるならいいが、理解はできん
売ってるヤツから路上で勧誘された。
真夏で喉が渇いてたのでコーヒー飲むつもりで勧誘に応じたのだけども
勧誘してきた男が店の裏で女の子に
「今のヤツに絶対買わせてみせるって」
とか得意気に言ってるのが聞こえた。
何故か自分は会社の社長の息子でうんぬんの自慢話も混ざってたwww
いろいろ話を聞いた上で、店の裏にも
聞こえる声量で
「いやあ、あなたの売り込み方が何か信用できないんですよね」
と断ったら逆切れされたwwwwww
逆手にとって売り込む事すらしなかったよ。
あの手の連中ってどうしてあんなに頭悪いんだろうか
オレは昔小学生の頃、嘘つきの近所の子(友達とはもう思わない)にオレの両親に向かってお金取ったと嘘をついてひどい怒られた。あれからオレはほとんど人を信じなくなったし、今も友達も全く居ない。
大学の頃、このスレほど悪徳じゃない旅行の宿の割引サービスに入っている友人が居たけど、馬鹿な奴と思って掘っておいた。
青森から出てきた奴だった、明るくて、物理関係の大学で90%男の中で彼女が居た奴だった。
でも、オレはそいつに負けていると思うorz
学生時代は親友だったけど、20台半ばのと時に無水鍋と洗剤勧めに、愛知から神奈川までわざわざ尋ねてきたのを追い返して以来、音信不通。
家にいったら、テーブルの上は数種類の商品が(私のほうを向いて)、ディスプレイしてあり、もうお店さながら。そう、アムウェイです。それから、勧誘が始まり、頻繁にその友達の携帯電話に仲間らしき人から、様子伺い&指示が入っていました。
『もう少しで落とせますから。』という声が聞こえ、彼女の顔を見たら、私を見る目が友達を見る目じゃなかった。『友達なら、買ってよ。…何なら、買うの?』と言われ、結局、逃げるように家を出てきました。その後もしつこく電話があり、最後は、『二度と掛けるな。友達とも思わない。』と喧嘩して終了。
本当に、今でも彼女のことは、残念に思う。
俺の友達も何人か居ますけどもね、殆ど実家引っ込んじゃいましたよ。
俺も専門学校、社会人になってからも、昔誘われて、「こいつらマルチを知らないのか?本当に儲かると思ってるの?」って感じでした。
俺は俺でサラリーマンを当時安月給で3年程頑張って、現在28歳ですけど去年は年収1800万でした。運とコネですね。夢見る歳は終わり。ちゃんと仕事してチャンス掴んだもの勝ちです。マルチやってるやつはクソそのもの。可哀想でなりません。
と、自分は悪くないと思ってますよ、今でも。
書くと長くなるから控えますが…
私の場合は友人に食事に誘われる⇒給料の話し⇒このまま貧乏暮らしたくないって話し⇒サプリメントの話し⇒マルチの勧誘⇒「幹部を呼びたい」ってはなしの流れです。
最終的には幹部呼ばせて5時間ほど幹部ともども説教して二人泣かせて帰らしました。
帰り際に「お前俺以外の奴誘ったか?」って聞いたら「○○(私)は転校してきて一番最初の友達だらかOOを最初に誘った」って事だったので
「いいか?俺以外は絶対誘うな!!!俺は黙ってるから変な噂が立つ前に辞めろ」って言ってうなずきながら友人を帰らせました。
彼は今、風俗店のボーイをやってるらしいです。
でも悪徳企業が多いのは事実ですが、「マルチ商法」=「悪徳マルチ」ではありません。
一攫千金の商売ではないことを肝に銘じて、正しい「マルチ商法」を頑張っている方々もいますよ。
正しい勧誘法を知らない、一部の間違った「悪徳マルチ」を見ただけで、全ての「マルチ商法」が「悪徳」だと思い込まないで下さい。
木を見て森を見ず・・・マルチ商法と優良企業を誤解しないで下さい。
自分も似たような体験がありまして・・・会社名を「サンフラワー」とか言ったかな。
契約しない気マンマンで話だけ聞きに行って、適当な理由で論破してとっとと帰って来たその一ヶ月後に新聞沙汰になったのも、今となっては良い思い出・・・な訳がなかったですね。
そいつが小中の卒業アルバム見てほぼ全員に電話かけてたのには驚いた
私も一度この手の集会覗いてみたことあるのですが
集まってる面子がどこぞの宗教団体みたいで異様でしたね
ただ意思の弱い人なら引っかかるような雰囲気ですので
今後も無くならないでしょう
たくさんの人に参考になる良エントリーだと思いました。
大学時代仲良くしてた奴だったから悲しくなったなあ。
「俺が勧めるのはアム○ェイなんかとは違うんだ」と熱心に語るけど、
その商品説明…数年前勧誘してきた小学校の同級生(アム○ェイ)と全く同じなんだが。
仮にも有名大学(しかも経済・商学)出て、一流企業に勤めて、このザマかと落胆した。
その時の勧誘セリフの中に「ロバート・キヨサキ」のうんたらかんたらがあったせいで、
彼の本やその他がきわめて胡散臭く感じるように…。
私も似たような経験がありました。その時は他人を働かせて稼ぐ経営理念なら、成功しているはずのあなたは何故私を誘うの?構うの?人脈があるならお金があるなら、その人たちで好きなことして幸せに暮らしてれば良いじゃん。って思ってました。
そもそも成功している人には押し売りしなくても人が群がって来るはずです。
あなたは周囲の人たちだけでなく、それ以上の人を救えた素晴らしい人です。
その昔
「あなたが地獄に落ちるのを見ていられない」って ある先輩に宗教に誘われたことを思い出しましたよ。(顕正教)
地獄に落ちる?どーでもいいじゃん。
とにかく主体思想だよなあ。こういう連中は。
でも はねとびの
グローバルTPS物語 のようにギャグにできるという客観的視点を常に持ちたいものですね。
D・・怖いっすね(>_<)
できれば一生関わりたくないです。
連絡してきてくれたら違ったのに、残念ですね。
しかし、悪徳商法にひっかかる人って、
Google検索使えないんでしょうか。
楽しく読まさせていただきました。
小生も10年前に高校の同級生に
怪しげな自己啓発セミナーに
誘われ、しばらくハマってましたが、
悪徳までとはいかないまでも、
こりゃいかん的な雰囲気に、一緒に
脱退を促しましたが、救出できません
でした。_| ̄|○
ま、今となってはいい思い出(^^;)
ですし、強引なやり方ではなかったので
助かりました。
その団体は、どっちかというと懐柔、
洗脳的な・・・。
ステージ進むと金額高くなるし(^^;)
目をかけてた後輩(女)がすっかりハマって会社辞めて、こっちが勧誘されて即絶縁したあの遠い秋の日。
連絡くだされば対応しますんで。
私も某ソーシャルネットワークで中学時代の元クラスメートの男の子からメッセが届きました。ほぼ話したこともなかったのに、妙に親しげにご飯でも行きませんか?とのことだったので、怪しさを感じ、返事をする前にその人のページに行き調べたところ、やはり高い浄水器を売りつける会社と関係していました。
なんだか悲しくなってしまいますねぇ…。
Dさん乙
それはさておき
この話を読んでふとスカイビズを思い出しました。10年くらい前にあったマルチの会社。ホームページスペースを売ると紹介料が入るシステム。
勧誘されたけどジオシティーズがあるのに誰が買うんだよと思ってた。同級生は入ってたけど。
そこが指導くらって後にできた会社が確かメビウスと覚えてたけど、メディウスのことだったのかな
私は以前努めていた、会社の社長から新興宗教の勧誘を受け、間接的に人生を狂わされた経験があります。
大概迷惑なネットワーク商法やあやしい宗教にはまる人間って、プライドが高く「自分は特別な人間だ」と心のどこかで思い込み、周りを見下しているんですよね。
活動に費やしてきた労力や費用・時間を考えると、自分が騙されているという事実すら本人は認めることができなくなります。こうなったらもう救出不可能です。
人間って簡単に洗脳されてしまうものなのだな、と実感させられました。
私はマルチじゃないですけど、宗教っぽいエステを契約した事が…怪しいと思いましたが、新入社員の立場で職場の先輩の紹介を断れず一番安いコースを。色々あって途中解約出来ましたが3回のフェイシャルエステで違約金含め10万近くは持っていかれました…今でも悔しいです。
ネットの評判を紙にプリントアウトして持って行った事もありましたが、一笑に伏され、その後囲まれて遠まわしに説得されたのも思い出しました。
元々、その仕事は信用は全くしていなかったのだけど、勧誘してきた友人だけは信用していたというバカだったのでそのまま続けて、ついていけなくなり辞めましたが、最初から辞めておけばよかったなぁと思います。
個人的にKさんのお母さんが素敵
Dさんに会って『よっ、大社長!』と皮肉言える日が来ることを祈ります。。笑
人は切羽詰まると思わぬ行動に出るものです。
彼は騙されてるというより、普段会わない人を騙そうとしてるように見えましたがw
最近第2のSLといわれてる、エクシングワールドもありますが、あれも色々あるようです。
自分はアフィリエイトのサイトをしていますが
どうも、無から有を稼ぎ出す仕組みは敬遠されがちです。あえて言うなら無料でお金が稼げるけど膨大な時間が必要だというところでしょうか。 楽しい記事でした^^
楽しく読めました。
それにしてもひどい友人ですね(もはや友人とはいえないか)
この前東京都から勧誘について是正勧告を受けたらしいですがw
http://www.c-consul.co.jp/news/news2010/news20100319.htm
私は5年前に誘われた社会人サークルの正体がサプリメント売り&自己啓発の会社だったんです。
深みに嵌る前に誘った男に言いたいだけ言い放って絶縁しました。
被害額は最小限に抑えましたがサークルの中身に勝手に期待を抱いた自分に腹が立ちましたね。
その絶縁した男は10カ年計画でマイホーム(マンション)と軽井沢に別荘を持つと豪語してたので、今頃はどちらかを手にしてるはず。...順調なら(笑)。
その男にもしばったり会ったら同じように「大社長」と言いたいです。
新宿の事務所で契約して信販会社の電話に出ないで無しにした
事務所では何言っても無駄だからクーリングオフかどっちかで無効にしてやろうと思ってやったんだけどね
奴らはトークの手口が同じで応用力ないよね
シェアハウスの同居人だったのですが
「起業準備中。俺はビックになる」的なことを言っていて
実際にはネットワークビジネスをやっているだけ。
東証一部上場企業の元社員だということを誇らしげに言っていましたが…
ネットワークビジネスをやっている人には気をつけたいですね。
ただ一番今までで簡単に引き剥がす方法としては、
「年収で2000万以上の人を連れてきてください。さしならいつでも話し聞きくよ!」と言えば、大体勧誘組みは末端の人間なので、3段上位の人間にさしで話してくれないかとはいえず、勧誘も来なくなりましたよ!
何度か説得を試みたんだけど、洗脳は解けなかったです。
もしかしたら、ぼくには理解出来ないだけで、凄いビジネスかもしれないですけど。
フットサルから始まった、社会人サークルと言うので、楽しそうかなと思って飲み会に参加しましたが。
のちに仲よくなったひとりにお茶に誘われ、他愛もない話など、楽しく過ごし、またあう約束をしました。
そして、次に会ったときは、サークルの中心人物らしい、四十のおばはんがきました。
会ったのは新宿、しかも少し遅れてきて、なぜか飲みものしか飲まないふたり。
服も二人とも前回と同じだったので、この人たちお金がないんだなと思いました。
どうみてもおばはんを、美魔女とたたえてるし。
しばらく話すと、金持ち父さん貧乏父さんという本をすすめてきました。
そこで、勧誘だ、と気づいたんですが、ま、おもしろいので適当に話をきいてました。
おばはんには大阪出身の師匠がいて、いま勉強していて、起業するとか。
そんな話です。
わたしはそれで、もう縁をきることにしたので、なんの勧誘をされていたのかは解りませんが。
ほかの方にもひっかかってほしくないので、少し書かせていただきました。
サークルに関わっている子達にも、20代の子が多かったので、早く目を覚ましてほしい。
今年、コミュニティ名が、ベストから「しがく」に変わりました。
パーティーに誘われている方も気を付けて下さい。
ガイダンスも、聞きに行ったら終わりです。
お前も一緒のレベル。
まだ行動してるだけそいつの方がマシ
自分の思ったことがあるのなら、ちゃんと書けば?
人をムカつかせるような書き方はどうかと思います。
「やあ、久しぶり!!」か「お前何しに来たんだ?」
これが人生を左右しかねないのだ。前者はマルチ商法の勧誘される。後者は無視して乗らない。
私くしも自衛隊の教育隊時代の同期が数十年ぶり家にやって来た。私は自衛隊を満期で辞める前にちょっとだけそいつと一緒だった。辞めてからは消息がなかった。私はピンときたコレはマルチの誘いだ。私はとっさに「お前誰や知らんぞ!!」と追い返した。しばらくして同期の奴に連絡した。
「Iというやつが俺の家に来た。マルチだから気をつけろ!!」
「実はIの奴が一昨日俺ん所に来た。舷門で追い返した。有り難う、俺も同期の奴ら連絡して注意するから……」
Iがどうなったか知ったこっちゃない。
は沢山のものを失った奴なんだろ。
夢(大金持ち)から覚める頃には性格も変わってるんだろうな。
とても懐かしかったです
私は
1999年ニュースキン
2003年メディウス
2007年DIY(五反田)
の勧誘を受けました
いやぁ向こうの唄い文句は
「お金持ちになりたくない?」
「変わりたいと思わない?」
「これはビジネスの話ですよ」
「家に持ち帰って相談?
私は暇じゃない
今決断しなさい」
「断る?あなたは○○の時間をムダにするの?時間を返しなさい!」
等
大して変わらないけど
怖いですね
面白い記事をありがとうございます
10年以上前にマルチやってた
約5年で7500万位稼いだが
内、6000位は初めの2年
最高月収は開始10か月後の600万
人生楽勝モードもつかの間
なだらかに急下降
最終的には月収1万を切る迄に下落w
所詮あぶく銭、金の使い方も知らない無知なDQN
生活レベルも落とせずに
家賃、公共料金、携帯の滞納は当たり前
動く金欲しさに金借りて
しけもく生活にも慣れてきた借金200万位でショボる
もちろん、半端無く稼ぎ続けてる人間も結構いたが
たいがい
っていうか、ほぼ9割9分
消えるのが当たり前
ただグレーなだけで
法にも触れて無いのは馬鹿でも承知
金も時間も人脈も
何の取り柄の無いアホでも稼げる唯一の方法がマルチwって話だったけど
確かに、そうだとも思う
大きく括れば、単なる自由業
ここら辺はどこの世界も一緒
成金夢見て、うまくいくのはほんの一握りなんて当たり前
事業、芸能、スポーツ、極道、政治、慈善、宗教、テロ...
要は、そういった負ともとれる経験を
その後の人生にどう活かせるかって事が重要なだけで
人生
まっとうしたいのは、皆一緒
人間、生きてるだけで、皆迷惑ってのも周知の事実
とは言え、俺
今でも社会の最底辺
価値基準も幾度となく変えてきた
資産こそ10桁目前だが
いかんせん、自分に甘い
何が甘いか?
"この筆者、馬鹿だなw"
と思った事を、正直に口に出してしまう...
"D君、君だけの花を咲かせてね!"
くだらない事に
時間を使ってしまった
例えば高級なスーツや貴金属の指輪やネックレスとかロレックスみたいな高級舶来腕時計など、如何にも「マルチで儲けている」とアピールしている。
これ大概親ネズミで子ネズミの同級生はヨレヨレのTシャツにボロボロのジーンズと言った水簿らしい恰好をしてきてやって来るのだ。凸凹コンビなのでマルチバレバレでやって来るから笑ってしまう。
極めつけは黒塗りのベンツかレクサスでやって来る。こいつらが来たらどうするか?
まずナンバープレートを見る事。平仮名が「わ」ナンバーなら確実にレンタカーだ。レンタカーと言う事は完全なカモフラージュしかならないので有無を言わさず問答無用で追い返すしかないでしょう。レンタカー以外に会社や親の親ネズミの車を借りて来た場合は
「ふん、これあんたの車?」
「夢を掴んで買ったよ」
と宣ったら
「あんたの車やったら車検証見せてくれるかな?」
車検証は文字通り、所有者と使用者の住所と名前が書いてあります。
所有者が信販会社やローン会社、ディーラ名義だったら「所有権留保」でそいつ無理してローンで買った証拠になります。所有権がマルチ会社名義や親の親ネズミ名義だったらバレバレのはずです。車検証を見せろと言って
「関係ない、見せる必要はない」
と逆ギレしたら、完全に疑って縁を切って下さい。
について調べてたらここに辿り着き、こんな前から室舘はやってたのか、、と驚きました。
この会社、今は社会人向け「しがく」だけでなく、大学生向けの「Nexus」というものを立ち上げて、大学生から年間何十万というお金を巻き上げてますよ。
「リーダー研修」「TLC」「くにまもり演説大会」「NYP」「室舘塾ユース」「指導者研修」「講師養成コース」
などなどオプションプランを参加するまでしつこく勧められます。
さらに、「プレミアムスタイル」といった無料就活支援から「Nexus」月会費5000→「しがく」月会費16000と、後から加入していくシステムなので、さらにタチ悪いです。
息子がなかなか辞めてくれず苦労しました。
皆様どうかお気をつけて。
自分の知り合いにもマルチで友人無くしまくった哀れなヤツがいますが、こういう手合いはヒトを騙すことに後ろめたさを感じないんでしよーね。