茄子 (1) (アフタヌーンKC (272))茄子 (1) (アフタヌーンKC (272))
著者:黒田 硫黄
販売元:講談社
発売日:2001-07
おすすめ度:4.5


 livedoor blogに移ってくる前にも紹介したのですが、最近新装版が出たので改めて。久々に読み返したのですが、やっぱり俺はこの漫画が好きすぎる。

 「茄子」をキーワードにしたオムニバス。茄子栽培をする農家のオヤジに始まり、弁当のおかずや夜食が茄子というだけのゆるーい話や、ご禁制である早ものの茄子を求める時代劇、茄子型クリーチャーとの戦いを描いたSFなどエピソードは多岐に渡ります。ロードレースのエピソードは映画化されて「茄子 アンダルシアの夏」として公開されました。
 何が良いって登場人物ですね。物語のメインに据えられる人たちにはそれぞれに独特の世界観があって、台詞の端々にそれが滲み出てくる。例えば第一話の主人公にして登場回数最多のインテリ農業オヤジ、高間さん。

バカのくせに
バカのくせに

 絶望がどうのこうのと抜かす家出少年をあまりにも見事に斬って捨てました。俺はもうこれでこの漫画の虜に。

 この高間さん、高校の同級生とはこんな会話をする。

「おまえもそうなんだろ」「うん」そうだなあ

 淡々とした中に滋味があると言いますか。こういう理性的なオッサン同士の突き放したような会話が大好きなのですよ。

 魅力的なのは酸いも甘いも知り尽くしたオヤジばかりではなく、人生に悩める若者たちもです。それぞれ会社を辞めて現在無職の有野君と国重さん。

ねーよ 知ってるよねーよ 知ってるよ

 そういう有野君は朝起きられなかったという理由で会社辞めてます。平日昼間っからフラフラしながらこんなダメな会話をしているのに不思議と彼らには好感が持てる。多分現在の状況や自分を取り巻く社会に対して卑屈な態度を取っていないから。無職の癖に地に足が付いている感じがとてもよいのです。

無理じゃん?無理じゃん?

 夢は若隠居。この後有野君はダメ人間の王道、インドへ。

 こんな感じで1巻のお気に入りのシーンを抜き出していたら、ほんの数ページしか出てこない新幹線の売り子のお姉さんまで切り出す羽目になったのでこの辺でやめます。気が向いたら2巻、3巻もやろう。

 最後に大好きな1コマ。

るれるれるれるれ
るれるれるれるれ

 常人にこんな擬態語は書けない。


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