「耳かきお蝶」「よみきり・もの(3)」の記事でカミングアウトしているように、俺は耳かきマニアです。それも行き着くところまで行っちゃった類の。そういった彼岸まで行き着いちゃった人間にとって憧れの店がこのレスプランディールです。

 俺がこの店を知ったきっかけが「タモリのグッジョブ!」というマッハで打ち切りを食った番組なのですが、この番組の中でカット1回で3万円する理容室の紹介がされてたのね。その価格でも予約待ちが必要なほどの大盛況。その秘密がコースに含まれている店長の耳かきテクニックによるものだったわけです。

 たっぷり数十分をかけて行われる耳かき。快感に溺れて下唇をわななかせているオッサンというのは中々見たくない画ヅラではあるのですが、耳かきマニアとしてはあまりにも魅力的な映像でした。レスプランディールはその店長さんがプロデュースしてる「トータルビューティサロン」。そこに耳かきだけのコースがあるのです。件のテレビ番組から三年以上を経て、行ってきましたよ今日。
 まずはジェルを使ってのマッサージから。いきなり耳を無視して首のリンパの辺りを徹底的に捏ね回す。何かと思ったら血流が良くなったのか段々耳が熱くなってくる。そしてそのまま耳のマッサージへ。耳たぶの全ての窪みにそって執拗に擦りまくる。これだけで相当気持ちいい。

 次は耳毛をカミソリで剃る。ずぞぞぞぞ。と首筋に向けて鳥肌が駆ける。でも怖気ではない心地よい鳥肌。普段俺は理容室で髪を切るので耳たぶを剃られる事はあるのですが、これは中までいきます。凹凸を巧みになぞって剃りぬける。毛が剃られる「チリ…チリ…」という音と手応え(耳応え)も心地よさを増長させる。

 そして遂に本番。書きながら風俗レポートでもしているかのような気分になってきたのですがそのまま続ける。耳かきは4段階でした。最初はごく軽く、耳の壁に触れるか触れないかぐらいの力で。そして耳かきを変更するごとに匙の部分が大きく(目の上にタオルが乗っているので正確なところは分かりませんが)、掻く力は強くなっていく。弱い力で掻かれるごとに耳の痒さが誘発され、次の段階でそれを掻きとる。絶妙。頭の芯が痺れるような感覚が持続する。

 片耳だけで10分以上耳かきをされ続けていると、意識に膜がかかったようになってくる。眠ってはいないんだが、何か全くまとまりの無いことを考えていて、それを自覚している。うたた寝時の脳内状態が人為的に作り出されてるような。そんで2,3度意識が飛ぶ。気が付いたら70分のコースはあっという間に終っていて、体中脱力している自分に気が付く。

 リラックスという一点だけにおいても金を払う価値は十分にあると思います。耳をいじくり倒されてるだけなのに何故か全身軽くなったよう。マニアとしてはもう少し耳の奥まで攻め込んでもらいたいところなのですが、そうでない客もいるわけだからこれは仕方ないところなのかな。

 俺のような非オシャレ人間は表参道のセレブオーラの中では歩いているだけでメキメキとエネルギーが削られていくのですが(マクー空間ばりに)、着いちゃえば速やかでテキパキした案内もあって何てことないです。雰囲気や価格に尻込みしている人も一度是非。

匠の技 最高級煤竹耳かき2本組 G-2153 (2入り)匠の技 最高級煤竹耳かき2本組 G-2153 (2入り)
販売元:匠の技
おすすめ度:5.0