ほぼ日手帳の秘密―10万人が使って、10万人がつくる手帳。


 「ほぼ日手帳」の使用例を実際の写真と共に紹介している本です。

 前どっかで只々いろんな人の部屋の写真と簡単な解説文を並べている本を立ち読みしたことがあるんですが、それに近い感じ。手帳の中ってのは部屋と同じでプライベートゾーンだから同じような印象を受けるんだろうな。あまりに十人十色なソレは眺めているだけで楽しい。
 絵を書く人、スクラップブックにしてる人、レイアウト無視の人、図面引いちゃう人。懐深いぜ「ほぼ日手帳」。手帳だから日記やノートと違って好き放題できるんだろうな。そしてこの手帳はきっとユーザーが工夫を凝らして使いたくなる魅力に溢れているんだろうと思う。「だろうと思う」ってのは、俺はまだこの手帳買ったばかりなので。

 優れたプロダクトってのは兎に角使いたくなるもんです。例えばiPod。俺は勿論音楽を聴くために買ったのですが、不思議なことにそれまで以上に音楽を聴くようになって、CDの購入頻度も上がった。優れた音楽プレイヤーは音楽を聴きたくさせる。同様にデジカメだったら写真を撮りたくさせなきゃいけないし、手帳だったら書き込みたくさせなきゃいけない。それがユーザーに向けてものを作る人間がするべき仕事だと俺は思うのですよ。

 そう考えるとこの本に出てくるような手帳ジャンキー(言いすぎ)を作った「ほぼ日手帳」は間違いなく最上級のプロダクトなんだろうな。これを作った人たちはクリエイターとしての本分を全うしているということ。これから使うのが楽しみになってくる。

 あと、ここまでの文脈と全く関係ないのですが、冒頭のインタビューで糸井重里が良いことを言っているので引用しておこう。
 メモしなきゃ覚えていられないようなものは、ろくなアイディアじゃない、という言い方がありますよね。忘れちゃうってことは、たいしたことがないことなんだと。ぼくも若いころ、そう思ってたことがありました。

 でも、はっきり断言できますけど、「いい考え」も忘れちゃいますよ。それはもう見事に。あと、もっと多いのは、「いい考えのモト」を忘れちゃうことなんです。

 いい考えそのものだけが、いつでもズバッと浮かんできてくれたら、きっと忘れないと思うんですけど、いい考えっていつもゴミみたいなものといっしょにとれるんですよ。
 で、投網とか砂金に例える。玉石混交から「いい考えのモト」をより分けるのにメモは有効だと。全くその通りだなあ。糸井重里はいつも良い事を言う。そしてその度に「くそ、騙されないぞ」と思う俺の性格の悪さよ。

 でも騙されないぞと思いながら「MOTHER3」は買う。